東日本大震災の発生から間もなく11年目を迎えるのに合わせ、カトリック東京大司教区は7日、「今年もまたあの出来事を忘れることなく心に刻み、大震災によって亡くなられた方々、またその後の過酷な生活の中で亡くなられた方々の永遠の安息をお祈りいたしましょう」と呼び掛ける文書を発表した。
東京大司教区の菊地功大司教は文書で、「教会は、いのちを生きる希望を掲げて、大震災発生から10年間、東北の地に生きる存在として、その役割を果たそうと努め、復興支援活動に取り組んできました」と回顧。全国の教区が協力しての活動は昨年3月末で終了したものの、「今も東北各地の教会共同体を通じて、普遍教会としての支援の歩みは続けられています」とした。
「一人で『復興』できる人はどこにもいません。誰も一人では再出発できません」と、ローマ教皇フランシスコが東京での被災者との集いで語った言葉を引用。「互いに助け合うために、支え合っていのちを生かすために、展望と希望を生み出すために、いのちを生きていることを、教会の10年にわたる復興支援活動の歩みを通じて神は私たちに語り掛け続けています」と述べた。
来年10月にローマで行われる世界代表司教会議(シノドス)が、「ともに歩む(シノドス的)教会のため――交わり、参加、そして宣教」をテーマに掲げていることに言及し、「教会のシノドス性の具体化を求めているこの道程は、私たちが『ともに歩む』ことを求めています」と指摘。「シノドス的教会は、福音を告げながら、『ともに旅をする』のです」と、シノドスの準備文書を引用し、「東北の地での復興支援活動は、日本の教会にとってまさしく『ともに旅をする』体験でした。交わりを通じて、福音を具体的に証しする旅路でした。多くの方が、自分のできる可能性の中で『参加』する旅路でした。私たちは、あの10年間の旅路から学びたい」とした。
青森、岩手、宮城、福島の4県を管轄する仙台教区が、19日にエドガル・ガクタン神父を新司教として迎えることに触れ、「震災を乗り越え復興の道を導いた(前任の)平賀(徹夫)司教様に感謝するとともに、新たな牧者であるガクタン司教様と一緒に、これからも展望と希望を回復する道を歩み続けてまいりましょう」と呼び掛けた。