日本基督教団世界宣教委員会は2日、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻を受け、「平和を求める祈り―ウクライナとロシアを覚えて―」を発表した。祈りでは、国内外の指導者と教会が「キリストの知恵と愛によって導かれ、勇気をもってこの局面と向き合うことができますように」と願い、武力ではなく対話と相互理解による「平和の道」を模索することを求めている。
同教団の石橋秀雄総会議長は祈りの紹介文で、侵攻は「どのような理由をもってしても決して容認できるものではありません」と批判。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が核抑止部隊に特別態勢を取るよう命じたことについては、「世界で唯一の被爆国である日本にあるキリスト教会として、何としても最悪の事態となることを防がなければなりません」と訴えている。
祈りが発表された2日は、レント(四旬節)の初日である灰の水曜日。世界のさまざまなキリスト教組織や教会はこの日を、ウクライナの平和のために祈る特別な日とするよう呼び掛けており、石橋氏は「私たちもこの祈りにおいてその呼び掛けに応答したいと思います」と述べている。
祈りでは、すべての人が罪人だと告白するとともに、人が神への畏れを忘れ傲慢になるとき、「他者を脅かし、傷つけ、あなたにも背を向けます」と指摘。「主よ、人間の傲慢さを打ち砕いてください」と求めている。一方で、「あなたの赦(ゆる)しの力は私たちの罪より偉大です」とし、「私たちを、この世界を、罪から救ってください。あなたの赦しに触れ、私たちにも赦す力を与えてください」と願っている。
その上で、「多くの人々の生死に関わる力を持つ人々がいます。その者たちのために祈ります。彼らが命を選ぶことができますように」と懇願。「争い合う道を選び取った人々のために祈ります。平和の神であるあなたの教えを彼らが思い出すことができますように」と求めている。
ウクライナとロシアの人々に直接言及する箇所では、「彼らの嘆きに耳を傾け、あなたが共にいて御手をもって彼らを守り、滅びの道から救い出してくださいますように。慰めと希望を与えてくださいますように。あなたの平和をもたらしてくださいますように」と求めている。