ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナのために祈るオンライン集会「スタンド・ウィズ・ウクライナ」(英語)が2月24日、英国人キリスト教運動家のクリシュ・カンディア氏の主催で開催された。集会に参加したウクライナ人のキリスト教指導者らは、欧州諸国に対し今後増加するであろうウクライナ人難民の受け入れのために備えるよう要求。また、祈りの他にも、励ましの言葉を送ったり、ウクライナ人がSNS上で発信する情報に対し「いいね」をしたりすることも、実際的な支援になると語った。
難民受け入れのため自国政府に働き掛けを
青少年伝道団体「ワンホープ」のネットワーク戦略担当者で、世界福音同盟(WEA)のコンサルタントを務めるウクライナ人のルスラン・マリウタ氏は、ウクライナ国内で何百万人もの人々が苦難に直面していると訴えた。
「ウクライナにとってつらい日です。非常に暗い日です。世界にとって暗黒の日と言っても過言ではないでしょう」
マリウタ氏は、多くのウクライナ人が国内に留まることを決意している一方、国外退避を選ぶ人もいると指摘。欧州諸国のクリスチャンに対し、避難してきたウクライナ人を受け入れ、助けるよう自国の政府に働き掛けるよう求めた。
「準備不足で難民が増えるより、準備し過ぎて難民が減る方が良いのです。しかし、今起きているすべてのことを考えると、(ウクライナ人難民は)私たちが考えているより少なくなるどころか、多くなりそうで怖いです」
また、ウクライナの教会に直接連絡を取り、どのような支援が必要かを尋ねることもできると語った。「教会は危機対応の最前線に立っています。現地で何が起ころうとも教会が離れることはありませんし、離れるとしても最後となるでしょう」
平和を当然視しないで
マリウタ氏はまた、ウクライナ以外の地域の人々も平和を当然視しないよう注意を促した。
「皆さん、これ(ロシアの軍事侵攻)は超現実的なことですが、どこか遠くの出来事で、自分のいるところでは絶対に起こり得ないことだと考えていないでしょうか。私たちも(クリミア併合前の)2013年はそうでした。また、1カ月前もまだ多くの人がそう思っていました」
「私たちはウクライナでそれとは違う現実に気付き、世界も今それに気付いたのです。ウクライナのために祈り、ロシアの人々のために祈り、そして世界のためにも祈る必要があります」
危機が人々を教会に戻す
集会には、ウクライナ最大のペンテコステ派教団「ウクライナ・ペンテコステ教会」(UPC)の海外渉外部長で、首都キエフで牧会するユーリイ・クラケビッチ氏も参加した。
クラケビッチ氏は、自身の家族と教団の指導者全員が、この危機の中で教会の働きを続けるためにキエフに留まることを決めたと語った。
またこの数週間、現在の危機的な状況が人々を教会に戻し、毎晩のように人々が祈るために集まっていると話した。「何年も祈祷会に参加していなかったような多くの人が現れるようになりました。困難は時に私たちを互いに近づけ、主の御座に近づけるのです」
旧ソ連時代に家族がロシアの辺境に追いやられた経験を持つクラケビッチ氏は、ロシアの支配下に置かれることに対する恐怖も口にした。「ウクライナにソ連が戻ってきてほしくはありません」。しかし、「だからこそ、私たちは祈りの中で主の勝利、クレムリンでまだ力を持つ闇に対する主の真理と光の勝利を宣言するのです」と力を込めた。
マリウタ、クラケビッチの両氏は、ロシア人に対しては愛の心しかなく、批判の矛先はロシア政府の行為に対するものであることも強調した。
祈り、励ましの言葉、「いいね」も実際的な支援
他の地域のクリスチャンが実際的な支援として何ができるかを尋ねる質問に対し、両氏は、ウクライナとロシアの人々に平和が戻るよう祈り、為政者が賢明な決断を下すことができるように祈ってほしいと求めた。
クラケビッチ氏はまた、侵攻に反対する抗議行動に危険を冒して参加したロシア人に感謝するとともに、人々からのメッセージや祈りはウクライナの人々にとって「感情の燃料」になると強調。「あらゆる電話やハグ、また最近は(SNS上の)『いいね』が大切です。それらは私たちが前進するのを助けてくれます」と語った。
マリウタ氏もこれに同意し、「励ましの言葉を送ることも実際的な(支援の)方法です。気にかけていると伝えること、メッセージに『いいね』を押すことも実際的な(支援の)方法なのです」と語った。