英国国教会が、初となるクリスマスシングルを発表した。
12月1日からさまざまなプラットフォームで配信が始まったのは、英国の女性詩人クリスティーナ・ロセッティ(1830~94)の詩「木枯らしの風ほえたけり」(原題:In the Bleak Midwinter)のクリスマスキャロル・バージョンで、英国国教会が英ラジオ局「クラシックFM」と共同で製作した。
クラシックFMの司会者アレクサンダー・アームストロング氏は、この曲について次のように述べている。
「クリスマスの光、色、温かさは、真冬の暗い色彩に対してはっきり浮かび上がるものです。特にその音楽は、私たちの喜びをより一層際立たせてくれます。これほどまでに音楽を楽しむことができる季節、多くの幸せな連想ができる季節は他にありません。それ故に、毎年クリスマスの音楽が流れてくるのを耳にすると、とても胸が高鳴るのです」
この曲は、英国国教会の2021年のクリスマステーマ「クリスマスの中心で」のサウンドトラックで使用されている。英国国教会はこのテーマを通して、人々に地元の教会へ降誕物語を聞きに行くよう勧めている。曲のデジタルストリーミングやダウンロードによる印税は、すべてホームレスを支援する慈善団体に寄付される予定だ。
英国国教会の主席聖職者であるカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは、次のように述べている。
「キャロルを歌うことは、多くの人に愛されているクリスマスの伝統です。ですから、この新しいキャロルを英国国教会初のクリスマスシングルとして分かち合えることを、うれしく思います」
「クリスマスは、神が人となられたときです。その胸が鼓動したときです。冷たい飼い葉桶の中のか弱い子として、この地上で初めて息をしたのです。私たちは毎年この時期になると、あらゆるものに装飾を施します。これも素晴らしいのですが、しかし、これらはクリスマスの中心ではありません。クリスマスを完璧なものにする唯一のものは、すべての人を見、愛し、歓迎してくださるイエス・キリストです。このキャロルが伝えているのは、私たちが、イエスと互いに対して与える必要があるものは、ただ私たちの心、私たち自身だけなのだということです。あなたがどこにいようと、また誰であろうと、今年のクリスマスには、あなたのために鼓動を打ってくださる神の御子を礼拝するよう、あなたも歓迎され、招かれているのです」
曲は、ロンドンの歴史的教会「セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ」の聖歌隊「セント・マーティンズ・ボイシーズ」の歌唱により録音された。作曲はクラシック音楽界の新星、レベッカ・デールが担当した。
デールが作曲し、2015年にリリースした合唱団とオーケストラのためのデビュー曲「私は歌う」(原題:I’ll Sing)は、アップル社の音楽配信サービス「iTunes Store」のクラシック・シングル・チャートで1位を獲得し、クラシックFMの「今週の合唱曲」にも選ばれた。また、彼女はユニバーサル・ミュージック・グループのデッカ・クラシック・レーベルと契約した最初の女性作曲家でもあり、デビューアルバム「母への鎮魂歌」(原題:Requiem For My Mother)はクラシック専門チャートで1位を獲得した。
デールはこのクリスマスシングルについて、次のように述べている。
「英国国教会のクリスマステーマ『クリスマスの中心で』のため、今回新しいキャロルを書くよう招かれたことは、とても光栄なことです。『木枯らしの風ほえたけり』は150年近く前に書かれた詩ですが、時代を超えた神秘性があり、冬の風景から馬小屋への旅、そして降誕物語の中心を見事に表現しています。以前からこの詩を曲にしてみたいと思っていたため、英国国教会からプロジェクトへの参加を要請されたとき、真っ先にこの詩が思い浮かびました。人々がこの曲を楽しみ、そしてクリスマスの中心にある素晴らしい物語とつながっていくことを願っています」
英国国教会とクラシックFMによる「木枯らしの風ほえたけり」(原題:In the Bleak Midwinter)の試聴やダウンロードはこちら(英語)から。