ナイジェリア中部カドゥナ州で礼拝中の教会が襲撃され、2人が死傷、66人が誘拐される事件が発生した。襲撃犯はその後、人質5人を銃で撃ち、2人が死亡、3人が重体。61人は今も人質として拘束されており、教会関係者は同国政府に対応を求めている。
襲撃されたのは、同州カカウダジ村のエマニュエル・バプテスト教会。ナイジェリアの英字紙「パンチ」(英語)が、ナイジェリア・キリスト教協会(CAN)カドゥナ州支部会長のジョセフ・ハヤブ牧師の話として伝えたところによると、日曜日の礼拝が行われていた10月31日午前10時ごろ、武装した男らが銃を乱射するなどして教会を襲撃。1人が死亡、1人が負傷したほか、子どもや妊婦、高齢者を含む男女66人が誘拐された。
ナイジェリアの英字紙「デイリーポスト」(英語)によると、ナイジェリア・バプテスト連盟(NBC)会長のイスラエル・アカンジ牧師は7日、誘拐された66人のうち5人が銃で撃たれ、2人が死亡、3人が重体となりカドゥナ州の病院で治療を受けていると発表した。
襲撃犯は、人質に与える食料を要求しており、食料が提供されなければ、餓死させる以外の選択肢はないと警告。政府が交渉に応じなければ、人質の殺害を開始すると脅迫している。アカンジ牧師は、人質5人が撃たれたことは、襲撃犯が脅迫内容を実行していることを示すものだとし、政府に必要な措置を講じるよう求めている。
ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領は現在、英グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)やパリ平和フォーラムへの出席などのために外遊中。そのため、アカンジ牧師はブハリ大統領と面会できておらず、襲撃犯の目的は金銭ではなく、政府との交渉だと訴えている。
キリスト教迫害監視団体「オープンドアーズ」(英語)のサブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカ)地域の広報担当者であるジョー・ニューハウス氏は事件を受け、ナイジェリア政府は国民を著しく失望させていると批判。同国の治安悪化が「過激派の理想的な温床」になっていると警鐘を鳴らし、現地のキリスト教徒のために祈るよう求めている。
「今回の拉致事件はいわゆる山賊の傍若無人さと、ナイジェリアの無法状態が際限なく続いていることを示す衝撃的な事例です。政府はこの問題で国民を著しく失望させており、無法状態が続くことで過激派の理想的な温床になっています。私たちはキリストの体である世界の教会に、人質の解放のために熱心に祈り続けることを求めます。また、主がこの状況を用いて、この状況に突破口をもたらしてくださるよう祈ります。主が拉致された信者を守り、この状況の中で信者たちが主の平安を体験するよう祈ります」