クリスチャンに対する迫害が過去最悪の状況にあり、世界で3億人以上が迫害に直面しているとして、世界福音同盟(WEA)は、11月7日と14日に開催される「迫害下にある教会のための国際祈祷日」(IDOP)への参加を呼び掛けている。WEAに加盟する日本福音同盟(JEA)も公式サイトに日本語の資料を公開。「迫害下にある教会とクリスチャンを覚えてお祈りください」と呼び掛けている。
WEAの資料によると、世界では現在、3億人以上、実に8人に1人のクリスチャンが信仰を理由とした迫害を受けながら生活している。殺害されるクリスチャンも多く、2020年は毎日平均で13人のクリスチャンが迫害により命を落とした。不当な理由で投獄されるクリスチャンもほぼ同数で、毎日平均で5人のクリスチャンが拉致被害に遭っている。また、新型コロナウイルスのパンデミックにより、迫害下にあるクリスチャンはさらなる貧困の中に置かれ、困難な状況にあるという。
IDOPは、クリスチャンに対する迫害の世界的な高まりを受け、WEAの信教の自由委員会が1996年に始めた。その後、世界の多くの教会やキリスト教団体が参加するようになり、現在は11月第1、第2日曜日と定められている。今年は、2月に軍事クーデターが起きたミャンマーや、8月末にタリバンが政権を掌握したアフガニスタンを含め、インドやナイジェリア、イランなど10カ国を、特に集中的に祈る国として挙げている。
WEAのトーマス・シルマッハー総主事は、「祈りが苦しむ聖徒を救う」と信じているが、祈るためには、迫害されている人々の状況を知ることが重要だと指摘。IDOPでは、迫害下にあるクリスチャンの情報を知って祈ることができるよう、さまざまな資料を用意していると説明する。また、今年のテーマ「迫害される人々は幸いである」(マタイ5:10)については、「私たちが今年目指しているのは、私たちの兄弟姉妹が義のために迫害に直面しても、自分たちは祝福された存在であることを知り、天での報いが大きいことを知って心を失わないように、全世界の教会に呼び掛けることです」と言う。
WEAの信教の自由大使であるゴッドフリー・ヨガラジャ氏は、「迫害されているクリスチャンに会うと、彼らはまず自分たちのために祈ってほしいと頼みます。これは、私が世界中の迫害下にある教会と共に長年働く中で実感していることです」と言い、次のように呼び掛けている。
「IDOPは、迫害されている人々のために祈る機会であると同時に、彼らとの連帯を表現する場でもあります。世界的な信仰の家族として、私たちと同じ信仰を持っているが、自由は持っていない兄弟姉妹のために団結して祈るこの機会を逃さないようにしましょう」
今年、特に集中的に祈る国として挙げられているのは、インド、ナイジェリア、ネパール、ソマリア、ミャンマー、アフガニスタン、パキスタン、アルジェリア、イラン、エリトリアの10カ国。WEAの資料によると、インドやネパールではヒンズー教の国家主義者や過激派が、ミャンマーでは仏教の国家主義者が、ナイジェリアやソマリア、パキスタン、アルジェリアではイスラム教の過激派が、主にクリスチャンを迫害しているという。一方、エリトリアはキリスト教人口が6割を超えるが、福音派や非伝統的教会に所属しているクリスチャンは、政府から厳しい迫害を受けているという。
世界の迫害に関する詳しい資料は、IDOPの公式サイトで英語など5カ国語で公開されている。JEAの公式サイトでは、一部が日本語に翻訳された資料と英語の資料が公開されている。