イスラム過激派組織に拉致され、8カ月にわたり監禁されていたナイジェリアの牧師が解放され、再び自由の身となった。監禁中、牧師の妻には3人目の子となる男の子が生まれており、牧師は生まれたばかりの息子と対面したほか、家族との再会を果たした。
解放されたのは、「ナイジェリア・キリストの教会」(COCIN)に所属するポリカープ・ゾンゴ牧師。昨年10月、教会の会議に出席するために、北東部ボルノ州マイドゥグリと同ヨベ州ダマトゥル間の道路を移動中、過激派組織「イスラム国西アフリカ州」(ISWAP)に拉致された。
ゾンゴ牧師は拉致後間もなくして、過激派組織側が公開した動画に登場。自身と、自身と共に監禁されていたキリスト教徒の女性2人の解放を求めて交渉するよう、州政府に懇願していた。
「私は教会の会議のために北東部の都市ゴンベに向かっていましたが、途中でカリフの武装した男たちに遭遇しました。彼らは私を捕らえ、今私は彼らと共にいます」。ゾンゴ牧師は当時、動画の中でそう述べ、州政府やナイジェリア・キリスト教協会(CAN)、COCINに助けを求めていた。
「彼らは今、私と一緒にいるキリスト教徒の女性2人も捕らえました。監禁状態の私たちが解放されるよう、どうか可能な限りのことをしてください」
米首都ワシントンに拠点を置く米国ナイジェリア法律事務所によると、ゾンゴ牧師の解放には、カルスーム平和財団とジョン・ポフィ財団が貢献したという。解放はゾンゴ牧師の病気が関係していたとされ、両財団は身代金が支払われていないことを確認している。
ゾンゴ牧師は解放後、首都アブジャで行われた礼拝に参加し、賛美を歌い、床にひれ伏すようにして祈り、感謝をささげたという。
米国ナイジェリア法律事務所の国際人権弁護士であるエマニュエル・オゲベ氏は、現在も多くの人が過激派組織により監禁されているものの、テロリストが「同情」を示し、ソンゴ牧師を解放したことを評価した。
「ISWAPが人質を解放したのは、最近のボコ・ハラムに対する勝利を祝ってのことなのか、それとも身代金を用意できない真に貧しい人たちだと分かったからなのかは分かりません。いずれにしても、人質を解放することでテロリストたちが示した同情を称賛します。この対話が継続され、統合された新しいボコ・ハラム / ISWAPが、ナイジェリア生徒拉致事件で集団拉致された女子生徒の残り112人を解放することを願っています」
ISWAPは、ナイジェリアを拠点に活動するイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」から分裂した組織。両者は度々衝突しており、5月中旬の戦闘でボコ・ハラムの最高指導者が死亡していた。また、ISWAPが分裂する前のボコ・ハラムは2014年4月、ボルノ州チボクの公立学校を襲撃し、女子生徒270人以上を拉致し、現在も100人以上を監禁している。