米フロリダ州マイアミ近郊の12階建てマンションが24日夜に崩落した事故で、救助隊が生存者の捜索を続ける中、ビリー・グラハム伝道協会(BGEA)の緊急対応チームや他のキリスト教団体のトラウマ専門家が現地入りし、依然行方が分かっていない150人余りと死亡が確認された9人の家族の心のケアに当たっている。
崩落したのは、マイアミ近郊のサーフサイドにある築40年のマンション「シャンプレイン・タワーズ・サウス」。高給リゾート地として知られるマイアミビーチに近い海に面した立地にあるマンションだった。短期滞在者や観光客も利用するコンドミニアムと呼ばれるタイプで、米CBNニュース(英語)によると、行方不明者の中には、退職した教師夫妻や、ロシア出身の正統派ユダヤ人、パラグアイ大統領夫人の妹家族などもおり、南米やイスラエルから来た利用者も多く含まれているという。
すでに両親が死亡したとみられる子どもの救助や、母親の脚を切断して母子をがれきの中から引きずり出すなど、悲惨な捜索活動の様子が伝えられている。
この悲劇的な事故を受け、BGEAは危機管理訓練を受けた「ビリー・グラハム緊急対応チーム」(BG-RRT)のチャプレンらを現地に派遣し、被害者の家族や救助隊員、心を痛めているコミュニティーに心のケアを提供している。
BG-RRTのジョシュ・ホランド副チーム長はCBNニュースに、「われわれは、危機管理訓練を受けたチャプレンが、人々から話を聞くことができます。捜索・救助活動に従事している第一応答者を含め、被害を受けたすべての人たちにこのような痛みや悲しみの中にあっても、神が彼らを愛し、気にかけてくださっていることを知ってほしいと思います」と語った。
BGEAのフランクリン・グラハム総裁は自身のフェイスブック(英語)に、「救助隊員たちは命を懸けてがれきの下で作業しており、落下してきたがれきの被害に遭っている人もいます」と投稿。「神が彼らを助け、守ってくださるよう、祈りをもって彼らを力付けましょう。また、行方不明になっているすべての人々と、連絡を待っているご家族のためにも祈りましょう。この大災害は多くの人を苦しめています」とつづった。また別の投稿(英語)では、詩編46編2節「神はわたしたちの避けどころ、わたしたちの砦。苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる」を引用し、人々を励ました。
マイアミのカトリック聖職者らは、崩落事故によって影響を受けたすべての人々のための特別ミサを計画している。
事故現場から約6ブロック離れたところにあるホテルには、行方不明者の家族のための情報センターが設置され、家族が愛する人の消息を待っている。26日朝には、キリスト教団体「レジェンダリオス」のメンバー16人が、家族や警官らのためにドーナツや飲み物を持ってホテルに到着。ホテルの外で祈りの輪を作り、警官と一緒に祈りをささげた後、事故現場に向かった。
レジェンダリオスのメンバーであるマウリシオ・ジャラミロさんは、「現地のコミュニティーは素晴らしく団結しています。私たちはただ、その中に祈りを加えたかっただけです」と語った。「何が起こっているのか分からない状態で、何人かの人と話をしました。たくさんの質問があります。人々は答えを求めており、私たちは祈るためにここにいます」
オンラインの募金活動も行われており、クラウドファンディングサイトで事故発生翌日の25日から始まった募金(英語)では、29日時点で1万人以上の人々から120万ドル(約1億3千万円)を超える寄付が寄せられている。