新型コロナウイルスの感染症患者を治療する目的で米福音派の国際支援団体「サマリタンズ・パース」がイタリア北部のミラノ近郊に設置していた救急野外医療施設から、最後の患者が退院した。
68床を備えたサマリタンズ・パースの救急野外医療施設は、医療崩壊状態にあった北部のクレモナ病院を支援する目的で設置され、2カ月弱の間に280人余りの患者を治療した。サマリタンズ・パースは、施設から最後の患者が退院したことは「新型コロナウイルス感染症における大きな転換点」と指摘。「これは祈りの答えです。現地の医療システムが地域のニーズを満たすことが見込まれるようになり、これ以上の支援が必要ないからです」と述べた。
最後の一人となった患者は今月14日午後3時に施設を後にした。サマリタンズ・パースの災害援助救援チームのスタッフは翌15日、クレモナ市長と地元のサッカーチームに面会。名誉市民の栄誉を受けた。
サマリタンズ・パースは当時、世界で最も新型コロナウイルスによる被害がひどかったイタリア北部を支援するため、38トンもの医療用品と共に組み立て式の救急野外医療施設を米国から空輸。3月20日にはクレモナ病院に隣接する形で施設を開設し、施設内の集中治療室は24時間後には満室になった。この2カ月弱の間に、施設で治療に当たった医療スタッフは100人を超える。
施設で治療を受けた患者の一人、アンジェロ・ロランディさんは感謝の意を示し、次のように語った。
「看護師の皆さん、どうもありがとう。皆さんは私にこの病気を克服し、この痛みを克服し、この過酷な状況を克服する力を与えてくれました。心の底から感謝します」