2月に国軍がクーデターを起こして以降、500人を超える死者が出ているミャンマーの状況を憂え、東京、ニューヨーク、ドイツのケルン、レーゲンスブルクの4都市のカトリック教区が共同で、聖木曜日の4月1日にミャンマーのために祈るよう呼び掛けている。
ロイター通信が人権擁護団体の情報として伝えたところによると、ミャンマーでは29日、最大都市ヤンゴンなどで新たに14人が治安部隊に殺害され、クーデター以降の死者は少なくとも510人に達した。また、国軍記念日の27日には、1日の死者数では最悪となる114人が死亡。日本の自衛隊や米国、韓国、英国など計12カ国の国防制服組トップが同日、ミャンマー国軍を非難する共同声明を発表するなどした。
こうした中、カトリック東京大司教区は26日、姉妹関係にあるケルン教区と共にミャンマーのために共同で祈りをささげることを確認したと発表。公式サイトに祈りの例文を提示した上で、聖木曜日の4月1日やその他の特別な日などに、ミャンマーのために祈るよう呼び掛けた。
さらに31日には、ケルン教区のプレスリリース(29日付)の日本語訳も掲載。それによると、東京、ケルンの両教区だけでなく、ニューヨークとレーゲンスブルクの両教区も4月1日に共に祈りをささげるよう呼び掛けている。
ローマ教皇フランシスコは、17日の一般謁見で「再びミャンマーの悲劇的な状況に言及しなければならないのは、極めて憂慮すべきことです」と表明。「ミャンマーでは、若者たちをはじめ、多くの人が祖国に希望をもたらすために、命を落としています。そこでは、多くの人々、特に若者たちが、祖国に希望をもたらすために命をささげています」と伝えた。
東京大司教区の菊地功大司教は19日、ボ枢機卿とミャンマー・カトリック司教団に書簡を送り、「私たちは、弱い人々に奉仕しすべての人々のために平和を求めるミャンマーの教会と祈りのうちに連帯する」と約束。昨年2月にミャンマーを訪問したことにも触れ、「そこで出会った人々の献身に感銘を受けました。彼らの希望と志が損なわれないことを深く祈っています」などと伝えた。
ヤンゴン大司教で、アジア司教協議会連盟会長でもあるチャールズ・マウン・ボ枢機卿は、全世界にミャンマーのために祈るよう求めている。
3月中旬に発した動画メッセージでは、ミャンマーの現状について「私たちの10年間はリセットされ、軍事的抑圧、無慈悲、暴力、独裁の悪夢に引き戻されています」と嘆いた。しかしその一方で、「このような暗い暗い時代にあっても、私たちに呼び掛ける主の声が聞こえます。教会が証人となり、正義と平和と和解の道具となり、主の手と足となって貧しい人々や恐れている人々を助け、愛をもって憎しみに対抗するようにと」と述べ、「この悲劇の中から新しいミャンマーが生まれるための働きを祈りましょう」と訴えた。
その上で、「だからこそ、これまで以上に皆さんの祈りが必要なのです。このミャンマーの未来のために祈ってください」と懇願。ミャンマー国民やアウン・サン・スー・チー氏ら民主化運動の指導者、またすべての民族指導者、宗教指導者のために祈るよう求めた。さらに、国軍やミン・アウン・フライン将軍のためにも祈るよう求め、「神がダマスコへの道でサウルを回心させたように、彼らを回心に導き、立ち止まらせ、彼らがミャンマーを紛争、抑圧、破壊の道へと導くのを防ぐことができるように」と願った。