核兵器禁止条約が発効したことを受け、日本キリスト教協議会(NCC)は27日、日本政府に一刻も早い署名を求める声明を発表した。核保有国と非保有国の橋渡し役を果たすとする政府の主張については、「偽りの言葉」であり「何ら核軍縮につながらない」と厳しく非難した。
声明では、日本政府が核抑止論に立つことにより、「敵対する相手国にさらなる核開発の理由を与え、さらに絶えず、核攻撃の標的とされるという不安を自ら増幅させるという自己矛盾に陥り続ける」と指摘。核抑止論は軍事力の永久放棄をうたった憲法9条の理念に反するだけでなく、「被爆者たちのこれまでのたゆまない平和への苦闘を踏みにじり、さらに福島原発事故の歴史から何も教訓を学ばない態度を表明することになる」と批判した。
カナダ在住の被爆者、サーロー節子さんの言葉「核兵器は必要悪ではなく、絶対悪」を引用し、「まさに、核兵器は非人道的な絶対悪であり、その使用も保有も開発も認められないものであることを、被爆国である日本こそ率先して堂々と主張すべき」と強調。「核抑止論と原子力『平和利用』の安全神話はすでに破綻しているばかりでなく、核兵器と原子力発電所はいのちと健康と環境を破壊し、人類をさらに破滅へと陥れかねない絶対悪であることに一人でも多くの人々が目覚め、声を上げ、そのような破滅的構造悪への隷属から脱出することができるように、我々はさらにこれからも政府に核兵器禁止条約への加盟を訴え、働きかけるように、残された時間、最善を尽くさなければならない」とした。
その上で、「限りない慈しみをもって天地万物を互いに調和し、いのちを生かし合う被造物として創造された造り主なる神を信じ、呼び集められ、そして仕えるためにこの世界(オイクメネ)に遣わされた我々キリストの体なる教会は、その課題を、主イエス・キリストの宣教の至上命令として担っていくことが求められていると信じる」と表明した。