核兵器禁止条約が発効したことを受け、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会(植松誠理事長=日本聖公会北海道教区主教)は22日、声明を発表した。同条約への「全面的な支持」をあらためて表明するとともに、日本政府に対し、条約の批准と核兵器の廃絶に向けた「橋渡し役」に真の意味で取り組むことなどを強く求めた。
WCRP日本委は声明で、「まさに核兵器は完全に違法なものとして、悪の烙印(らくいん)が明白に押された」と条約発効の意義を強調。被爆者をはじめとする市民社会の人道主義の主張が、これまで大国の軍事バランス論に翻弄されてきた核議論に大きな影響を与え、核兵器廃絶に向けた実質的な軍縮プロセスを作り上げられたことは「画期的だった」とした。
2019年8月、125カ国から宗教者約千人がドイツに集まり、「他者を傷つけることは、自分自身を傷つけること」との信念を確認したWCRP第10回大会の宣言文に触れ、「WCRPが志を共にするすべての人々と目指している『核兵器なき世界』に向けた、人類の偉大なる一歩として、衷心より歓迎する」とした。
その上で、日本政府に対する「切なる要望」として、▽条約を署名・批准し正式に締約国となること、▽核兵器禁止条約と核兵器不拡散条約(NPT)が補完関係であるとの立場に立ち、核兵器の廃絶に向けて政府が主張する「橋渡し役」に真の意味で取り組むこと、▽被爆の実相と核兵器使用がもたらす科学的な終末予測をもとに、核抑止政策の信ぴょう性に対する再検証を行うこと、▽核兵器に依存しない日本の平和と安全を構築する政策について検討を始めることを要請。「『核兵器なき世界』を願う世界の人々と連帯し、祈りと粘り強い対話を通して全面的な核兵器廃絶に向け、力を尽くす」と決意を示した。