59・4メートルの最大瞬間風速を記録した大型の台風10号は、6日から7日にかけて九州に接近し、各地で被害をもたらした。消防庁の発表によると、7日午後12時半時点における被害状況は、九州各県を含む11県で、重軽傷者38人、安否不明者4人、全壊・破損・床下浸水などの被害があった建物20棟。九州や四国など11県で100万人以上に避難指示が出され、260万人以上に避難勧告が出された。
本紙は、九州7県と沖縄、山口の計9県の教会の被害状況を確認。8日朝までに20教会の状況が確認できたが、これまでのところ、会堂に大きな被害があったという報告はない。一方、信徒の中には自宅が被害を受けた人もおり、停電の影響も出ていることから、復旧に向けて祈りを呼び掛ける教会もある。
沖縄県の宮古島や久米島、那覇市などの教会は、暴風域の外や比較的風が弱い場所にあったこともあり、教会への被害はなかった。宮崎県の宮崎、延岡の両市、鹿児島県の鹿児島、南さつまの両市、熊本県の熊本、天草、人吉の各市、福岡県の北九州、福岡、久留米の各市、また山口県下関市でも、各教会に問い合わせをするなどして状況を確認したが、いずれも被害を免れていた。
一方、長崎市の長崎バプテスト教会は、会堂に被害はなかったものの、信徒宅の窓ガラスが割れ、停電に苦労しているという。長崎県佐世保市の相浦光キリスト教会はフェイスブックで、会堂には被害がなかったものの、信徒宅のガレージフェンスの一部が飛び、停電が続いているとし、祈りを呼び掛けている。
福岡市の大名クロスガーデンも被害はなかった。台風が来る前には、牧師や執事が中心となり、高齢者や病気の治療に当たっている家族、一人暮らしの人などを訪問。窓ガラスに養生テープを貼ったり、緊急時の食料などを届けたりし、「災害に備える神の民の交わりが豊かにされたことが感謝」だったという。
九州キリスト災害支援センター(九キ災)は7日、フェイスブックで「福岡本部・熊本ベース・宮崎支部、また現在進行中の豪雨支援に関連した人吉聖書教会・大牟田地区では目立った被害はない」と報告。現在、ネットワークを通して被害状況を確認しており、新たな情報が判明し次第、随時情報を更新するとし、「早期復旧、また不安を感じておられる方々、怪我をされた方々のために共に祈りましょう」と呼び掛けた。
九州電力の発表によると、8日午前9時の時点で、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の5県で約8万6590戸が停電しており、非常災害対策組織を設置し、早期復旧に取り組んでいる。経済産業省の発表によると、九州電力は約1万1千人の体制で対応に当たっているという。この他、四国電力や中国電力の管内でも電力の供給に支障が出ており、厚生労働省の発表によると、鹿児島、長崎、佐賀、大分、山口の5県にある23の医療機関で停電が起きた。
国土交通省の発表によると、台風10号の影響で、長崎と宮崎の両県で4つの河川が氾濫危険推移を超えた。また、九州各地の高速道路が雨量規制基準超過により通行止めとなり、大分、長崎、福岡の各県の国道9本で越波、倒木、電線の垂れ下がり、飛来してきた屋根によって、一部が全面通行止めとなった。この他、電車、バス、フェリー、飛行機などの公共交通機関も軒並み運休した。