熊本県南部など九州南部を襲った記録的な大雨で、同県では6日までに26人が死亡、15人が心肺停止、11人が行方不明となっている。これを受け、キリスト教団体も大雨が襲った4日当日から、支援に向けた動きを開始。すでに避難所や被災者への支援物資の配布を始め、緊急支援のための寄付を募っている。
九州キリスト教災害支援センター
九州キリスト教災害支援センター(九キ災)は4日、フェイスブックで、同県益城町の熊本ベースを「九州南部豪雨災害対応拠点」とし、防災倉庫を設置している教会から保存食や水を回収し、被災地に支援物資として配布すると発表した。6日にはスタッフ2人を現地視察のため派遣。避難所となっている人吉第2中学校(同県人吉市)や、人吉バイブル・プロテスタント基督教会(人吉聖書教会、同市)に支援物資を届けた。
新型コロナウイルスの状況下にあるため、現段階では一般のボランティアの受け付けは行っていないが、今後状況を確認しながら情報を更新していくという。7日には緊急理事会を開催し、今後の支援活動について話し合う。6日の投稿では「明日以降も雨の予報です。これ以上の被害がでないようにお祈りください」と呼び掛けている。支援金の受け付けはすでに開始しており、郵便振替、銀行振込、クレジットカードで可能。最新の情報、寄付の詳細は九キ災のフェイスブックを。
ハンガーゼロ
ハンガーゼロ(日本国際飢餓対策機構)は6日、パン・アキモト提供の「パンの缶詰」約1万1500食分を同日、チャーターした4トントラックで被災地に向けて発送したと公式サイトで発表した。九キ災の熊本ベースに届けられ、九キ災を通して避難所や被災者に配布されるという。ハンガーゼロはこれまでも、熊本地震(2016年)や九州北部豪雨(17年)の緊急支援活動で九キ災と協力している。今回は、被災地現地の新型コロナウイルス対策に配慮し、ハンガーゼロの緊急援助班からの直接の人材派遣は当面控える考えで、九キ災の活動をサポートすることで支援を行っていく予定。
神戸国際支縁機構
神戸国際支縁機構は4日、村上裕隆代表、岩村義雄理事長ら3人で、500食分の食料をワゴン車に積み込み神戸市を出発。この日は熊本県芦北町を訪れ、藤崎正司副町長らと面会し、現地の状況を確認。大雨で孤立した集落や依頼のあった施設を訪問する計画だ。
岩村氏は5日未明、フェイスブックで現地の状況を報告。「芦北町だけで1万7千戸のライフラインが影響。避難場所も6カ所あり、少人数単位のため、炊き出しより、マスク、飲料水、食料が必要です。面積70パーセントが森林の現地奥に入ると散在する孤立した集落があります。家族、家屋、財を土砂崩れにより失って茫然(ぼうぜん)となさっています」と伝えている。
また「災害発生で一番大切なのは近隣の人たちの温かい励まし、助け合う精神です。日本人がかつて持っていた博愛精神が発揮されるターニングポイントです」と訴え、「日本人が潜在的に受け継いでいる博愛精神がこれからの台風シーズンに行き渡るように祈ります」とつづっている。
オペレーション・ブレッシング・ジャパン
オペレーション・ブレッシング・ジャパンは5日、公式サイトで緊急支援の寄付受け付け開始を発表した。現在は人吉市を中心に被災地で必要とされる支援情報を収集しており、新型コロナウイルスの感染防止も考えながら、慎重に支援計画を検討するとしている。一方、現地の福祉事業所に対しては、すでに除菌で必要となる次亜塩素酸水や物資の発送を始めているという。今後の活動内容や現地の状況は、公式サイトやフェイスブックで更新していくとし、募金への協力を呼び掛けている。