米キリスト教世論調査会社「バーナグループ」のデイビッド・キナマン最高経営責任者(CEO)が、新型コロナウイルスの影響により、今後1年半以内に全米の5分の1の教会が恒久的な閉鎖に追い込まれる可能性があると語った。
キナマン氏は24日、米公共ラジオ局のインタビュー(英語)に応じ、新型コロナウイルスの感染症対策のため数カ月間の閉鎖を経験した米国の教会について、初期においては、かなり適切に対応したとする見解を示す一方、状況は変化していると述べた。
米国では各州で閉鎖命令が緩和され、多くの教会が再開している。しかしキナマン氏は、再開後の礼拝参加者が「かなり減っている」と指摘。「(教会は)人々と深い関係を持っていると思っていたのですが、実は思っていたほどに深くなかったことに気付き始めているのです」と言う。その上で、今年初めから行っている調査結果を踏まえ、今後1年半以内に5分の1の教会が恒久的に閉鎖される可能性があるとの予想を示した。
「どちらかと言えば、この予想はここ2カ月から2カ月半前のデータに基づいていますが、現在の(データに基づいた)方が、さらにそうなる可能性が高いと思います」
「献金が少なくなったこと、そしてそれ以上に重要なことは、再開した教会でさえも、人の数がかなり少なくなっているということです。ですから、単に教会を再開しただけでは、経済的な問題を解決することはできません」
キナマン氏は一つの指標として、自身の教会がパンデミックを生き残れると思うかを牧師たちに尋ねたアンケートの調査結果を示した。生き残れることに「非常に自信がある」と回答した牧師は、初期の段階では70%に上ったが、最近の調査では58%にまで低下した。
キナマン氏は、今回のパンデミックは今後、教会の礼拝出席と献金において「米国人に根本的な変化をもたらした」と認識されるようになるだろうと指摘。「すべての教会が再開したとしても、オンラインによる礼拝出席は明らかに、これまで以上に増えるでしょう。このデジタル教会はこのまま残ることになると思います」と語った。
「自分の所属教会への献金に関する考え方も本当に変わるでしょう。教会に直接通う人だけでなく、その教会共同体の一員である人たちに、教会がどれだけ価値をもたらしているのかを、これまで以上に示す必要が出てくるでしょう」
他のさまざまな施設と同じく、米国の多くの教会は、新型コロナウイルスによる閉鎖措置で、経済的に大きな打撃を受けている。
全米2位の規模であるプロテスタント教派「合同メソジスト教会」(UMC)は、今年4月の献金額が前年比26%減であったことを報告した。UMCの財務担当者であるリック・キング氏は、「これは、新型コロナウイルスがこれまでのところ、教会の一般的な献金に影響を与えていることを示しています」と言い、「3月は、前年に比べわずかに減少しただけでした。それ(献金の減少)は、新型コロナウイルスの流行が米国の西海岸で始まった西管区で本当に感じられました」と語った。
米国福音同盟(NAE)が4月下旬に発表した世論調査「ステート・オブ・プレート」の結果によると、約3分の2の教会で3月中旬以降、献金が減少している。全米の約1万教会を対象にしたこの調査では、34%の教会が10~20%の献金の減少を報告し、22%の教会が30~50%、9%の教会が75%以上の減少を報告していた(関連記事:米教会、新型コロナで65%が献金減少 小規模教会は存続に危機感)。