聖職者による未成年者に対する性的虐待の問題を受けて、カトリック教会の各教区が決意表明を発表している。13日には、長崎大司教区がホームページで「聖職者による性虐待防止に対する決意表明」を発表。14日現在、全16教区のうち8教区がホームページで決意表明を公表している。
長崎大司教区は決意表明で、「カトリック長崎大司教区において神と人びとに奉仕する私たち聖職者と福音的勧告を宣誓した者一同は、叙階式あるいは誓願式において神と人びとの前で、主キリストに自分自身をささげるしるしとして独身を受け入れる決心を表明しました。にもかかわらずこれまで、仕えるべき方々を性虐待などによって肉体的・精神的に傷つけてきたことを深くお詫びいたします」と謝罪した。
その上で、「今後、私たちは、各々の『心に注がれる聖霊の恵み』によって、独身の決心を誠実に果たすだけでなく、すべてのいのちを守り支える使命を与えられた者であることを深く自覚し、真心からの回心を継続的に行い、未成年者に対しても成年者に対しても性虐待ないし性暴力の過ちを決して犯さないという決意をここに表明いたします」とした。
2月7日にいち早く、「聖職者による性虐待についての東京教区の取り組みと決意について」をホームページで公開した東京大司教区は、「深い苦しみと大きな葛藤を長年にわたって強いてきた聖職者の加害について、被害を受けられた皆様に、心からお詫びいたします」と謝罪。2016年5月に「東京教区子どもと女性の権利擁護委員会」を発足させるなどのこれまでの取り組みを報告するとともに、「聖職者に対する啓発の研修を重ね、同時に対応委員会を強化して、聖職者による性虐待の撲滅を目指して活動いたします」と誓った。
大阪大司教区は3月19日に「性虐待、性暴力、ハラスメント防止決意表明」を発表。「私たちカトリック大阪大司教区の司祭団は、人間の尊厳を踏みにじる性虐待、性暴力、あらゆるハラスメントを許さず、教会でこのようなことを二度と起こさないように決意し、防止に取り組むことを表明します」と誓った。
13日までに決意表明をホームページで発表しているのは、札幌教区、新潟教区、東京大司教区、名古屋教区、京都教区、大阪大司教区、広島教区、長崎大司教区の8教区。
日本のカトリック聖職者による未成年に対する性的虐待をめぐっては、日本カトリック司教協議会が実態を調査し、被害の訴えが全国で16件あったとする調査報告を7日に発表した。訴えのうち、聖職者が加害を認めた事例は、不明の7件を除いて4件。否認した5件について、第三者委員会による調査が入った事例は1件のみで、教会裁判にかけられた事例も1件のみにとどまり、いずれも黙秘、または否認の状態だった。また残りの3件は、いずれも内部の対応に留まっていた。(関連記事:日本のカトリック聖職者による児童性的虐待、訴えは16件 司教協議会が調査結果を発表)
日本のカトリック教会では、ローマ教皇フランシスコの意向を受け、司教団が2017年、四旬節第2金曜日を「性虐待被害者のための祈りと償いの日」に制定。被害者の痛みや苦しみに寄り添い、祈りと償いのうちに過ごす機会として、毎年この日に合わせてミサをささげている。