米国の南部バプテスト連盟(SBC)国際宣教局(IMB)がこのほど、性的虐待の防止と対応を目的とした新しい専門職を局内に創設した。SBCをめぐっては昨年2月、過去20年間に牧師や執事、日曜学校の教師ら約380人が性的虐待を行い、被害者が700人以上に上ることが報じられていた。
IMBのポール・チットウッド会長は1月末、米カリフォルニア州リバーサイドで開催した理事会で、教育コンサルタントで法医学カウンセラーのサマー・ノバク氏を同職に選任したと発表した。クリスチャンポストの取材に応じたノバク氏は、自身が昨年、性的虐待の予防を担当する責任者の必要性を認識したことや、虐待との闘いに貢献したいとする自身の思いを語った。
「私はIMBとその働きを愛しています。虐待防止の向上が、IMBが情熱を注いで追求している分野だと知ったとき、その取り組みの力になりたいと思いました。私はこれまで、子どもたちや家族の安全と幸福に情熱を傾けてきました。この職務は正にそれを実行する機会になりますし、SBCの方々に奉仕する機会にもなります」
就任してからのこの数週間は、スタッフと会合を開いたり、性的虐待の申し立ての処理方法を改善するために当初の推奨事項を見直したりする作業を行っている。
「スタッフやフィールドワーカー、また、その家族の安全を確保するために、情報を十分に得るとともに、密接に協力することになるすべての方々と良好な関係を築きながら、この仕事をしていきたいと考えています」
ノバク氏は以前、アラバマ州チェロキー郡の教育委員会でカウンセラーを務めるとともに、同郡の子どもの権利擁護センターで教育コンサルタントとしても働いていた。
IMBのデイビッド・プラット前会長は2018年7月、IMB内で過去にあった性的虐待の申し立ての処理に関する調査2件の開始を発表。その1つは、当時ユースパスター(青年担当牧師)で、後にIMBの宣教師となり、他の宣教団体の指導的役割を務めたマーク・アダーホルト氏に対するものだった。プラット氏は当時、次のように述べている。
「現在、私は複数の教会や宣教団体の指導者たち、特にSBC内の指導者たちと話し合っています。実用的な方法を確立し、将来このような状況を防ぐことができるようにしなければなりません」
「児童虐待や性的虐待、あるいはセクハラを過小評価したり、無視したり、隠蔽(いんぺい)したり、大目に見ようとしたりすることは絶対に許されません。教会や宣教団体のすべての被雇用者、関係者の安全と支援を確かなものとするために、私たちは直ちに行動しなければなりません」
IMBは、ミネソタ州ミネアポリスに拠点を置く法律事務所「グレイ・プラット・ムーティー」(GPM)に委託し、性的虐待への対応をめぐるIMBの基準の調査を実施。改善すべき分野について勧告を受けていた。
GPMは昨年5月に発表した調査報告の中で、ある程度の改善は見られたものの、「IMBにおける過去の事例の処理に関して、重大な懸念が多数認められた」と結論付けている。
「時間の経過とともに改善がなされたとしても、IMBの現在のポリシーと手続きは、時代に則した最良かつ実践的標準に達していない」
「GPMは、こうした懸念を念頭に結論を出した。IMBの予防と対応の取り組みは、児童の安全、児童虐待とセクハラ(暴行を含む)の防止と対応、トラウマ・インフォームド・アプローチ(トラウマがその人の人生にどういった影響を及ぼしているのかを明らかにした上でケアを提供するアプローチ)を専門とする個人の定期的な関与によって大幅に改善されると結論付けた」
「最大のチャレンジは何か」とクリスチャンポストに尋ねられたノバク氏は、IMBのすべてのスタッフが虐待問題について教育を受けられるよう徹底することだと答えた。
「世界中で、またここ(IBMの事務所があるバージニア州)リッチモンドで奉仕しているIMBの働き人の数を考えるとき、そして大宣教命令の働きに携わっているボランティアの数を考えるとき、すべての人が評価と教育と情報を受け、その学びを続けることを確かにする任務は、途方もなく大きなものだと感じています」
「最大のチャレンジは、SBCで活躍するすべての人がこれらのトピックスについて十分に訓練と教育を受けられるようにすることだと思います。しかし、私たちはこの任務に取り組んでおり、(性的虐待に関する)安全性を前進させることが不可欠だと考えています」