ナチス・ドイツのユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)の象徴的存在であるアウシュビッツ強制収容所が解放されてから27日で75周年となった。この日を覚え、世界教会協議会(WCC)のアグネス・アブオム議長とオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は共同で談話(英語)を発表し、近年増大する反ユダヤ主義に警鐘を鳴らした。
両氏は談話で、アウシュビッツ強制収容所の解放は「人間がなし得る悪の極みの完全な暴露」だったと回想。後の世界人権宣言(1948年)の起草や採択を後押ししたと語った。
その上で、近年の反ユダヤ主義の増大に言及。「多くの国々で報じられている反ユダヤ主義的な主張や事件の劇的な増大、また特にインターネット上において有害にもいまだに続くホロコーストの否定に不安を抱いている」と語った。
談話では、WCCや加盟教会が、対話や諸活動を通して、ユダヤ人やユダヤ系諸団体との関係を大切にしていることを説明。反ユダヤ主義は「多くの場合、多くの地において少数派に対する不寛容と暴力の増大の最初の兆候」だとし、「すべての善意ある人々から抵抗され、拒否されるべき」だと語った。
そして、「アウシュビッツ解放75周年を覚えるこの国際的なホロコーストの記念日に、われわれは皆、反ユダヤ主義は歴史上の例外ではなく、今も続くものであり、ユダヤ人に対する、また世界中の社会の開放性と包含性に対する、高まりつつある脅威であることを知る必要がある」と述べ、警鐘を鳴らした。
アウシュビッツ強制収容所:ナチス・ドイツが第2次世界大戦中の1940年、占領下のポーランド南部オシフィエンチム(ドイツ語名:アウシュビッツ)の郊外に建設。130万人が連行され、110万人がガス室などで殺害されたとされている。ドイツ敗戦前の45年1月27日に旧ソ連軍が解放。跡地は博物館として保存され、79年には「負の遺産」として世界遺産に登録されている。