9月から発動する米国の対中追加関税のリストから、聖書や宗教書が除外された。米国のキリスト教出版社や教会指導者からは歓迎の声が聞こえている。
米通商代表部(USTR)は13日、ドナルド・トランプ米大統領が9月1日に発動するとしていた中国製の輸入品に対する10パーセントの追加関税について、声明(英語)を発表した。その中で、予定通り9月1日から追加関税が発動する品目のリスト4A(英語)と、発動が12月15日に延期される品目のリスト4B(英語)を公表した。
声明ではさらに、「一部の品目は健康、安全、国家安全保障、その他の要因に基づき、関税リストから除外されており、10パーセントの追加関税の対象になることはない」と説明。複数の報道によると、USTRは聖書やその他の宗教書をリストから除外したことを認めた。
一方、追加関税が12月15日まで延期されたのは、携帯電話やノートパソコン、ビデオゲーム機、一部の玩具、パソコン用モニター、一部の履物、衣類など。これらの品目に猶予期間が設定されたのは、米国内の年末商戦への影響などに配慮したとする見方が伝えられている。
追加関税のリストから聖書が除外されたことを受け、キリスト教出版社は今回の処置を歓迎した。
米大手キリスト教出版社「ライフウェイ・クリスチャン・リソーシーズ」のベン・マンドレル最高経営責任者(CEO)は、「過去数カ月間、予定されていた関税により、キリスト教出版社の重要な働きが脅かされるのではなかいとの大きな懸念がありました」とコメント。「USTRによる今回の発表は、現政権が私たちの懸念に耳を傾けているという希望をもたらしました」と語った。
米プロテスタント最大教派である南部バプテスト連盟(SBC)の倫理宗教自由委員会(ERLC)は、以前からキリスト教の出版物を追加関税の対象から外すよう政府に請願していた。ERLCのラッセル・ムーア委員長は13日、ツイッターに次のように投稿した。
「本日、米国の対中関税から中国製聖書が除外されることが分かり、うれしく思います。ライフウェイをはじめとする多くの出版社やミニストリー団体にとって、これは歓迎すべきニュースです」
ムーア氏は、SBCのニュースサイト「バプテスト・プレス」(英語)に、次のように語った。
「貿易政策について考えるとき、聖書はこの種の課税対象になるべきではありません。私たちはクリスチャンとして、聖書は神の言葉で、人生と使命の中心であると信じているからです」
また、米国出版社協会のマリア・パランテ会長は次のように述べた。
「政府が関税対象品目リスト4Aに聖書やその他の宗教書を含めなかったこと、また、児童書の関税を12月15日まで延期したことを私たちはうれしく思います」
中国は世界最大の聖書生産国。聖書が追加関税の対象となり、生産コストが高騰すれば、これまでのように聖書を生産できないと米国のキリスト教出版社は憂慮していた。
一方、ロイター通信(英語)によると、ロザリオなど、個人が使用する宗教関連品については、9月1日発動の追加関税の対象となる。同通信の調べによると、米国におけるこうした宗教関連の輸入品は約6割が中国製だという。