カトリック、ルーテル、メソジスト、聖公会、改革派のキリスト教主要5教派から代表者が参加する会合が3月26~28日、米インディアナ州のノートルダム大学で開催された。1999年にカトリックとルーテル両教会の間で「義認の教理に関する共同宣言」(JDDJ)が調印されてから、今年で20年がたつのを記念したもので、JDDJの歴史的重要性を再確認するとともに、各教派間のさらなる歩み寄りと可視的一致を求めて話し合いの時を持った。
JDDJは1999年、ルーテル世界連盟(LWF)とカトリック教会が、宗教改革記念日の10月31日にドイツのアウクスブルクで調印した。LWFは、カトリック教会に異議を申し立て、宗教改革の中心的役割を担ったマルティン・ルターの流れをくむルーテル教会の世界組織で、JDDJは、約500年前の宗教改革以来続いていた両教会の神学的対立に、一定の解決をもたらす重要な役割を担った。
その後、2006年に世界メソジスト協議会(WMC)、17年に世界改革派教会共同体(WCRC)も調印。聖公会においても、全聖公会中央協議会(ACC)が16年、JDDJの内容を「歓迎し支持する」と表明し、実質的に承認している。
会合初日には各5教派による発表が行われ、教役者の相互承認や相互聖餐といった現在も残る課題に取り組む際、まず相違点ではなく共通点に目を向け始めることが大いに役立ったことなどが分かち合われた。同日夜には、一般にも開かれたエキュメニカルな祈りの礼拝が行われ、来賓として、ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会(PCPCU)議長のクルト・コッホ枢機卿、LWFのマルティン・ユンゲ総幹事、WMCのパク・ジョンチョン会長、ウェールズ聖公会・聖デイヴィッド大聖堂のサラ・ローランド・ジョーンズ主任司祭、WCRCのクリス・ファーガソン総幹事らが参加した。
礼拝では、メソジスト派のアンナ・アダムズ・ペトリン牧師(米ウエスレー神学校准教授)が、ヨハネによる福音書から、ぶどうの木なるキリストについて書かれた箇所を朗読。賛美歌と詩編の歌唱を、ノートルダム大学の典礼聖歌隊が導き、米国聖公会の司祭でもあるヒュー・ページ同大副学長が説教を取り次ぎ、キリスト教のさまざまな枝なる教派が、一致と和解の福音の預言的証人であるべきだと力強く伝えた。
また、米国福音ルーテル教会のマックスウェル・ジョンソン牧師(同大神学部教授)が、「洗礼の約束の更新」を導き、ペトリン牧師と、長老派のニール・アーナー牧師(同准教授)が、キリスト教における共通の儀式であるバプテスマ(洗礼)を象徴する聖水を会衆に振り掛けた。
最終日には、一般公開のパネルディスカッション「対立から交流へ:世界で協力するクリスチャンの未来」が行われ、さらに会合で話し合った内容をまとめた公式声明(英語)を発表した。声明は、JDDJの中核的メッセージを、対立し傷ついた世界に向けて再び提示する緊急性を強調。JDDJによりこの20年で深化した各教派間の結束を踏まえ、相違点よりも共通点に基づき行動する最近の動きを歓迎した。
また、共通点を細分化し、その中で互いに一致する点を見いだすJDDJの手法は、異なった信仰告白の形態を維持しながらも、キリスト教の中核的な教理において各教派が合意することを可能にしたとし、その有効性を評価した。
会合では、神学的な議論だけでなく、教役者の相互承認や、牧会・社会的奉仕におけるより強固な協力といった課題についても話し合われた。また、エキュメニカル運動のための教育とその醸成のために、各教派で資料の共有を進め、洗礼式や「洗礼の約束の更新」の儀式に関わる共通資料の作成などを提言。さらなる対話の前進のために、各教派の代表者で構成される運営委員会の設置も決めた。