世界改革派教会共同体(WCRC)は5日、宗教改革による過去の分裂を修復し、他のキリスト教共同体との一致と協力に向けた取り組みを目指す2つのエキュメニカル声明に署名した。署名を受け、世界的なエキュメニカル組織である世界教会協議会(WCC)は同日、歓迎の意を表明した。
声明の署名式は、マルティン・ルターゆかりの地、ドイツ・ヴィッテンベルクにある聖マリア教会(町教会)で行われた。WCRCのジェリー・ピレイ会長は式典の冒頭、「今日は歴史的な日です」と語った。
WCRCはこの日、ルーテル世界連盟(LWF)とカトリック教会が1999年に署名し、2006年に世界メソジスト協議会(WMC)も承認している「義認の教理に関する共同宣言」に署名した。また、LWFとの協力や合同の活動を強化することを約束する「ヴィッテンベルク共同声明」(英語、他)にも署名した。
WCCアフリカ支部会長であるメアリーアン・プランティーズ・ヴァン・ハフル博士(南アフリカ合同改革派教会=URCSA)は、声明への署名が行われた後、次のように述べた。「これら2つの宣言は、完全な交わりと共同の証しを追い求めるということを、具体的に世に表明したものです。これは、すべてのキリスト教徒に対するキリストのご意思です」。式に出席した正教会とメノナイト派の代表者らも、WCRCの署名に支持を表明した。
「義認の教理に関する共同宣言」は、500年前の宗教改革におけるルーテル派とカトリック教会による非難の応酬について、義認に関する今日の教義には適応されるものではないとしている。
ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会(PCPCU)次官のブライアン・ファレル司教は式典で、「16世紀における西方教会の分裂の主な要因となった神学論争に関しては、『ルーテル教会とカトリック教会の間で基本的真理の合意が存在している』と両教会は述べている」と語った。
ヴィッテンベルク共同声明は、数十年にわたって行われた神学的対話と、世界中のLWFとWCRCの所属教会が踏み出した信仰の歩みに基づいており、世界の諸教会が持つ共通の声でもある。
WCRCが共同宣言に新たに加わったことを確認し、改革派、カトリック、ルーテル派、メソジスト派の各代表者らが声明に署名すると、聖マリア教会に集った会衆からは拍手が沸き起こった。
「私たちは今、単に声明に署名しているのではなく、教会の一致を築き上げているのです」。式典の礼拝で説教したレバノン出身のナジュラ・カサブ牧師(WCRC次期会長)は、かつてルター自身が説教した場である聖マリア教会でそう語った。
この式典は、ルターが95カ条の論題により当時の教会の腐敗を非難した宗教改革から、500年を迎えるのを記念して行われたもので、数世紀にわたるプロテスタント教会とカトリック教会の分裂を打開するイベントでもある。正教会のエキュメニカル総主教バルソロメオス1世と、カトリック教会のローマ教皇フランシスコは、式典には出席しなかったものの、激励のメッセージを送った。
式典の中で行われた礼拝では、過去の分裂や過ちに対する悔い改めと嘆きの祈りがささげられ、一致と公正に向けた取り組みへの決意が表明された。LWF総幹事のマルティン・ユンゲ牧師は、「私たちは不公正と排除の力に抵抗し、一致を実現する共通の努力を倍増することを約束します」と語った。
WCRCは、旧東ドイツ領第2の都市ライプツィヒで、世界各地から約千人が参加する総会を開催しており、式典は総会に合わせて行われた。
WCRCは、225余りのプロテスタント教会が加盟する団体。加盟教会は100カ国余りに広がり、会衆派や長老派、改革派、合同教会、ワルドー派など幅広く、各教会に所属する信徒は計約8千万人に上る。本部はドイツ・ハノーバー。