今年、宗教改革500年を迎えるのを記念して、英国福音同盟(EA)は1月31日、声明(英語)を発表した。声明では、宗教改革は「必要不可欠」なものであり、イエス・キリストの教えを回復するものだったとして高く評価した。一方、プロテスタント・カトリック双方の和解に対する努力は認めるものの、両者には現在も相違があることを強調した。
声明は、「われわれ福音派が持つ教義や精神、文化は、宗教改革によるところが大きい」と強調。「宗教改革は、改革というよりも回復でした。イエス・キリストご自身、そして使徒たちが主張した救いの『福音』、つまり『良き知らせ』という絶対に不可欠な内容を回復させたのです。われわれの呼称である福音派は、この福音の回復を反映したものなのです」としている。
一方、宗教改革者マルティン・ルターと、16世紀のカトリック教会との間にあった根本的な相違は、和解へ向けた努力も存在するが、現代の福音派とカトリックの間に依然として残っていると主張した。
EAの声明は、プロテスタントとカトリックの分裂に対して悔い改めを呼び掛けた、英国国教会(聖公会)のカンタベリー大主教とヨーク大主教による共同声明とは、明らかにトーンが違う。両大主教は声明で、「愛のうちに一致するようにというイエス・キリストの明確な命令を無視し、5世紀前から続く教会の不一致」を嘆いていた。
宗教改革は、ルターが1517年に「95カ条の論題」をドイツにあるヴィッテンベルクの城教会の扉に貼り付けことに始まる。それから500年目となる今年は、プロテスタントとカトリック双方の関係が深まることが期待されている。
EAは「こうした取り組みを肯定的に見る向きもある」とする一方、両者には依然として、ルターが掲げたといわれる「聖書の権威と義認(の教理)」という「根本的な問題」以外にもさらに相違があると強調した。
8ページに及ぶこの声明は、カトリック教会が他教派よりもカトリック教会を正当な権威ある教会と見なしていることや、教皇の不可謬(ふかびゅう)性、「洗礼」と「聖餐」以外のサクラメント(秘跡)、マリア崇敬などを挙げ、これらは聖書的な根拠がないものだとしている。
EA神学諮問団の議長であるデビッド・ヒルボーン博士は、「福音派とカトリックの間には、『教義的かつ実質的に大きな相違』があるということなのです」と述べた。
一方で声明は、特に同性婚や中絶、安楽死に反対するというカトリック教会と共通の認識を含め、「互いに歩み寄ることのできる点」についても強調している。
EAのスティーブ・クリフォード総主事は、「福音派とカトリックが40年以上にわたって協力し合ってきたのは、政府に圧力をかけ、公益のために働こうとする公共政策の分野であった」と述べた。
一方、EAは「声明は分裂を祝うよう呼び掛けるものではありません。相違のある領域を注意深く見るものであり、これらの相違の多くは、福音派の信仰における重要な部分なのです」と説明。「われわれはまた、現在の相違をさらに広げようとしているわけではないことを明確にしてきました。われわれは、宗教改革の重要性を認識することを求めており、また同時に、カトリック教会と共に働くことのできる道を探し求めているのです」としている。