英国国教会の首席聖職者であるカンタベリー大主教と、次席聖職者であるヨーク大主教は17日、宗教改革500年を記念する共同声明(英語)を発表し、多くのキリスト者が、宗教改革がもたらした「大きな祝福」に感謝をささげたいと願っているだろうと述べた。一方、2人は宗教改革によって、多くの人々が迫害に苦しみ、さらには死ぬこともあったと述べ、5世紀前の出来事によって生じた不信頼と争いという遺産のために、悔い改めを呼び掛けた。
共同声明は、毎年恒例の「キリスト教一致祈祷週間」(1月18日〜25日)に合わせ、その前日に発表された。
伝統的に、プロテスタントのカトリック教会からの離脱は、ドイツの修道士マルティン・ルター(1483〜1546)が1517年10月31日に、「95カ条の論題」をヴィッテンベルクの城教会の扉に貼り付けたことで始まったと考えられている。ルターのこの行動は、カトリック教会から徐々に分離し、その権威から離れる多くのプロテスタント諸派を起こすこととなった。
カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーと、ヨーク大主教ジョン・センタムはともに、宗教改革前のカトリック教会内の職位であるカンタベリー大司教とヨーク大司教の職務を受け継ぐ立場にあるが、声明では「愛の内に一致するようにというイエス・キリストの明確な命令を無視し、5世紀前から続く教会の不一致」について述べた。
「その荒れ狂う時代に、キリスト者たちは互いに戦い、多くの者たちが迫害に苦しみ、そして同じ主を知ると主張する他の者たちの手によって死ぬことさえありました。それによって生じた不信頼と争いの遺産は、その後の何世紀もの間、キリスト教が世界中に驚くほど広く宣(の)べ伝えられるときも、ずっとつきまといました」
一方、2人は宗教改革が直接的にもたらした「大きな祝福」にも言及。宗教改革によって、救いは神の恵みのみによるという福音が明確に宣言され、全ての人々に母国語で聖書を読む機会が与えられ、世と教会において神に奉仕するという一般信徒の召命への認識がもたらされたことを挙げた。
そして、両大主教は、悔い改めと、カトリックとプロテスタント間の関係を強化することを呼び掛けた。
「宗教改革を思い起こすことはまた、永続する分裂に対して、私たち自身を自分たちの側の悔い改めへと導くべきです。このような悔い改めは、他の諸教会に手を差し伸べ、彼らとの関係を強化する行動と結び付けられる必要があります」
「それ故に、私たちは全てのキリスト者に対して、宗教改革記念の諸行事への参加を通じて、キリストの福音の真理において新しくされ、1つにされることを求め、そして分裂を悔い改め、キリストにあって団結し、イエス・キリストへの服従において世界への祝福となるように呼び掛けます」