プロテスタント福音派の牧師や神学者たちが、来年、マルティン・ルターによる宗教改革から500年を迎えるのを前に、カトリック教会についての「福音派の確信の声明」(英語)を発表した。
「宗教改革は終わったのか」と題されたこの声明には初め、50人の牧師と神学者が署名。10月24日に発表されて以来、賛同者からの署名を募っており、署名者は7日までに計251人に増えている。声明は「レフォルマンダ・イニシアチブ」から出され、一部のプロテスタントとカトリックによってなされている主張、すなわち、「エキュメニカルな交わり」が非常に前進したため、西方教会の分裂を引き起こした神学的な諸論争はもはや両陣営を分かたないという主張に狙いを定めたものとなっている。
声明は、「対話が迫害に取って代わった事実には感謝するが、疑問は残っています。カトリックとプロテスタント / 福音派の間の根本的な神学的相違は消えたのでしょうか?」と問い掛ける。
そして、「義認の教理に関する共同宣言」につながったルーテル、カトリック両教会の対話にもかかわらず、カトリック教会はまだ本当には信仰のみを通しての救いを信じていないと指摘。カトリック教会が聖書の至高の権威を受け入れず、マリアの無原罪の御宿り(懐胎)と聖母の被昇天(マリアが生涯の終わりに肉体を伴って天国へ上げられたという信仰)、そして教皇の無謬(むびゅう)性を信じている点を挙げている。
また、「近年、何百万人ものカトリック信徒が福音派となった事実は、カトリック教会の指導者たちに知られずには済まなかった」と述べ、「彼ら(カトリック教会の指導者たち)は、伝統的な福音派の用語(たとえば、回心、福音、宣教、憐[あわ]れみ)を戦略的に採用することによって忠実な信徒たちのこの喪失に対応し、かつて彼らが有罪宣告を下した教会(プロテスタント)とのエキュメニカルな対話を確立しています」と続けている。
そして最後は、「500年前に宗教改革を生んだ重要な諸問題は、21世紀でもなお、教会全体に対して健在です。私たちはそれらをはっきりさせるあらゆる機会を歓迎すると同時に、福音派は宗教改革者たちと共に、私たちの最終的な権威が聖書であり、私たちは信仰のみを通して救われるという根本的な確信を認めるのです」と締めくくっている。
声明の署名者たちの中には、独立福音派教会交友会(FIEC)のジョン・スティーブンス国内ディレクター、英ケンブリッジにある聖書研究所「ティンダルハウス」のピーター・ウィリアムズ所長、米フェニックス神学校のウェイン・グルーデム教授(神学・聖書学)、英グレース教会のティム・チェスター牧師らがいる。
声明は英語の他に、スペイン語、イタリア語、スロバキア語、ポルトガル語、スウェーデン語、ルーマニア語でも出されている。賛同者の署名は、特設サイト「宗教改革は終わったのか」(英語)で募っている。