宗教改革500年で沸くマルティン・ルターゆかりの地、ドイツ中東部の都市ヴィッテンブルクで、ロボット牧師「BlessU-2(ブレスユー・ツー)」が人々の注目を集めている。開発したのは、ドイツ福音主義教会(EKD)に加盟する州教会の1つであるヘッセン・ナッサウ福音主義教会(EKHN)。開発に携わった担当者は、信仰とロボットがどう関わり得るのかを考えるきっかけにしてほしいと話している。
BlessU-2 は、「祝福のロボット」を意味する「Segensroboter」の名でも呼ばれ、近づいてきた人にあいさつし、男女の声の選択に加え、ドイツ語、英語、フランス語、スペイン語、ポーランド語の5言語で祝福を提供する。BlessU-2 が祈る祝福の種類は、4カテゴリー31種に上る。
希望の祝福をリクエストすると、BlessU-2 は両手を挙げ、手のひらに埋め込まれたライトを光らせながら祈りを始める。可動式の目と眉、ライトで光る鼻、デジタル表示の口で、深刻な顔から笑顔までいろいろな表情を作って、新約聖書の言葉を語る。そして最後には、その聖書箇所を印刷するかどうのオプションもある。
ロボットの牧師が、人間の牧師に代わり牧会的ケアを行うものではないが、開発に携わった人々は、機械がどのように宗教生活の一部となるかについて興味を持っている。
BlessU-2 を開発したEKHNのステファン・クレブスさんは、英ガーディアン紙(英語)に、「人間が必要な時に、機械によって祝福されることができるのかどうかを、皆さんに考えてほしいです」と話す。
「この考えは議論を引き起こすでしょう」とクレブスさん。「通りの人々は関心を寄せ、面白がって興味を持っています。彼らは非常に肯定的です。しかし、教会の中には、私たちが人間の牧師を機械に置き換えたいと考えていると思っている人もいます。教会の人たちの方がより批判的ということがあります」と言う。
「私たちは教会の仕事をロボット化したくはないのですが、機械に神学的な側面をもたらすことができるかどうかを見ています」
BlessU-2 は、クリスチャンを祝福する初のロボットとして登場したが、ロボットの人工知能と宗教的信仰が一緒になったのはこれが初めてではない。
2015年には、北京の仏教寺院で「Buddhabot(ブッダボット)」と呼ばれるロボット僧侶が誕生しており、マントラを唱え、仏教信仰の基本的な教義を説明することができる。また13年には、「Isaac(アイザック)」と呼ばれるヒューマノイドロボットが、ユダヤ教の祭り「ハヌカ」の7日目夜、サンフランシスコのユニオンスクエアで行われたイベントで、巨大なユダヤ教の燭台「メノラー」に火を付けるパフォーマンスをしている。
■ ロボット牧師「BlessU-2」