ニュージーランド中部の都市クライストチャーチで14日に発生し、イスラム教徒50人が殺害されたモスク銃乱射事件を受け、クライストチャーチの教会指導者らは同日、イスラム教徒に対する支援を表明した。
聖公会クライストチャーチ教区のピーター・カレル主教は同日、声明を発表。「未曽有の状況に打ちひしがれています。私たちの心と祈りは被害者全員に向けられています。いかなる宗教組織、いかなる宗教団体も、個人の憎しみの対象とされるべきではありません。たとえ信条が違っていてもです」と語った。
「ニュージーランドを代表して、私たちはこのような暴力を決して容認しません。クライストチャーチと聖公会の全教会は、イスラム教徒の兄弟姉妹のために祈っています。また、負傷された方々や愛する人を失った方々、警官や救急隊員の皆さん、そしてクライストチャーチにおられ、事件の故に苦痛や恐れを感じているすべての方々のために祈っています。私たちは皆さん全員を祈りの内に覚えています」
カレル主教はまた、事件の実行犯や共犯者のためにも祈るとコメント。「このようなことをするからには、心に相当の憎しみがあるのでしょうし、人命に対する価値観がそれほど逸脱しているのでしょう。彼らにも祈りが必要なのです」と語った。
カトリック教会クライストチャーチ教区のポール・マーティン司教は、「暴力に心が震えています。この苦痛は言葉では表現できません。私たちの祈りは、苦しみの中にある方々と共にあります」と語った。カトリックの信徒に向けては、「神よ、わたしをあなたの平和の道具としてお使いください。憎しみのあるところに愛を、いさかいのあるところにゆるしを」と、アッシジの聖フランシスコの祈りを引用した。
カトリックや聖公会のほか、バプテストやメソジスト、救世軍、単立教会などさまざまなプロテスタント教会が加盟するエキュメニカル団体「クライストチャーチ都心部キリスト教聖職者協会」は声明を発表し、現地のイスラム教コミュニティーに対して次のように述べた。
「私たち都心部のキリスト教聖職者と会衆は、クライストチャーチのイスラム教徒の皆さんに私たちの愛を表明致します。また、この大きな喪失の時にあって、私たちの友情と支援を約束します。私たち都心部のコミュニティーとそのメンバーは、祈り続けることを約束します。この非道な行為によって生じたことは、理解するに余りあるものだからです。アブラハムの霊的遺産から生まれた2つの伝統宗教の一員として、私たちは皆さんと連帯し、すべての根源である神に目を向け、泣き叫んでいます」