英国国教会のトップであるカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーら、英国の宗教指導者たちが、英タイムズ紙(英語、3月29日付)に対し、テロが決して信仰者たちの絆を引き裂くことはないとする内容の書簡を送った。
書簡は、ウェルビー大主教のほか、英連邦諸国の主任ラビであるエフライム・ミビス氏や4人の著名なイスラム教指導者も署名。「テロはわれわれを脅かし、分裂させようとします。実際、それは逆効果です」と述べている。
宗教指導者らは、英国会議事堂前で3月22日に発生したテロ事件について触れ、この事件が、それぞれの信仰グループを互いに対立させることはないという確信において「一致」し続けていると強調。「この事件は逆に、われわれを平和、友情、協力を追い求めることにおいて結び合わせるのです」と述べている。
「この冷酷な殺人によって、自由と民主主義に打撃を与えたと考える人たちに対して、われわれはこう言うのです。『平和を愛する者たちを引き裂くことができるほどに邪悪な行為は存在しません。われわれは犠牲者、遺族、そして神のかけがえのない平和のために共に祈ります』」
また別の書簡で、伝統派ユダヤ教のラビであるジョナサン・ヴィッテンベルグ氏は、自らの宗教の名で行われているテロ行為を「恥ずかしく感じ、自分の宗教が誤って伝えられていると感じている」イスラム教の友人たちに深い共感を覚えると述べた。
「同時に彼らは反イスラム教の人々から多くの偏見を受けているのです」とヴィッテンベルグ氏。一方、「これ(テロ)はイスラム教(によるもの)ではありません」という否認も説得力を欠くと語った。
「もし虐待がたまにではなく、厚かましくも繰り返しその名で実行されるのであれば、どんな信仰、国民、イデオロギーもそれ自身に理由を尋ねなければなりません。イスラム恐怖症ではない人々は、非常に多くのテロが表向きはイスラム教の名によって行われている理由、また何が行われているのか、そしてそれに対してイスラム教の内外で誰が立ち上がっているのかを正しく知りたいと思うでしょう」
ヴィッテンベルグ氏は、多くのイスラム教徒が、イスラム教が長い間何のチェックもされないまま放置されていると感じているとし、宗教指導者たちは、過激思想やテロに対して結束し、どのようにイスラム教の人々を支援したらよいか知りたがっていると語った。