ロンドン中心部の英国会議事堂(ウェストミンスター宮殿)近くで22日午後(日本時間同日夜)発生したテロ事件を受け、英国内の教会組織やキリスト教指導者は、犠牲者や遺族らに哀悼の意を示すとともに、祈りをささげた。
英国国教会のカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは自身のツイッター(英語)に「ウェストミンスターでの出来事に深く衝撃を受け、悲しんでいます。全ての犠牲者・関係者のために、また(テロ事件に)勇敢に対応している人々のために祈ります」とコメント。「ウェストミンスターの残酷で無意味な攻撃により、愛する人を失い悲しむ人々のために、また傷つき、心に痛みを受けた人々のために、今夜祈ります」と続けた。
英国福音同盟(EA)は公式サイトに「ウェストミンスターのための祈り」(英語)を掲載。「全能なる神よ、あなたの完全なる愛を感謝します。完全な愛は恐れを追い出します。今日、恐れにとらわれている人々のために祈ります。あなたの愛が彼らを支えられますように。今日あったロンドンの攻撃で傷ついた人々のために、主よ、彼らを近くに引き寄せ、癒やしを与えてください。この暴力に影響を受けた全ての家族のために、主よ、あなたの慈しみを」などと祈り、犠牲者や関係者のために祈るよう呼び掛けた。
カトリック教会のウェストミンスター大司教ビンセント・ニコルス枢機卿は英BBCラジオ・エセックス(英語)の取材に応じ、「皆さんと同じように、この午後、そして今も入ってきているニュースに非常にショックを受けました」「犠牲者のために、またこの喪失のために非常に深く悲しむ人々のために祈ります」とコメント。フランスから学校行事のためにロンドンに来ていた15〜16歳の生徒も事件に巻き込まれたことについて触れ、「重傷を負ったフランスの若者たちの家族にとって、この事件が特に悲劇であることを理解しています」と語った。
ロイター通信などによると、事件は英国会議事堂のすぐそばを流れるテムズ川に架かるウェストミンスター橋で22日午後2時半過ぎ(日本時間同日午後11時半過ぎ)に発生。まず、犯人の男が乗った車が、ウェストミンスター橋の歩道に突っ込み、通行人を次々にはねた。車はその後、議事堂近くの柵に衝突して止まり、男は議事堂の敷地内に侵入して警備中の警官を刃物で刺し、直後に駆け付けた別の警官に射殺された。
車にはねられた歩行者3人と刃物で刺された警官1人の計4人が死亡し、約40人が負傷した。NHKによると、警察は、男がイスラム過激派の影響を受けて犯行に及んだ可能性があるとみて調べている。英タイムズ紙は、犯人の男について40代のアジア系だと伝えているという。事件があった22日は、ベルギーの首都ブリュッセルで32人が死亡した多発テロからちょうど1周年の日だった。