米音楽界最高峰とされるグラミー賞の第61回授賞式が10日(日本時間11日)、ロサンゼルスのステープルズ・センターで開催された。キリスト教関係の5部門では、ローレン・デイグル(27)が、最優秀現代キリスト教音楽(CCM)楽曲賞と最優秀CCMアルバム賞の2冠に、トリー・ケリー(26)が、最優秀ゴスペル楽曲賞と最優秀ゴスペル・アルバム賞の2冠に輝き、ジェイソン・クラッブ(41)が最優秀ルーツ・ゴスペル・アルバム賞を獲得した。
2016年と17年にノミネート経験があり、今年初受賞となったデイグルは、「今回の受賞は、私たちはただ上を見上げる(look up)べきなんだ、と繰り返し実感する中でのものでした」と、最優秀CCMアルバム賞を受賞した3枚目アルバム「Look Up Child」にかけてコメント。「音楽が上を見上げる(look up)機会を与えてくれるのは、本当に素敵なことです。音楽は愛を世界に広げる機会を私たちに与えてくれます」と語った。
最優秀CCM楽曲賞を受賞した「You Say」は、「Look Up Child」の収録曲の1つで、「私が何も感じられないとき、私は愛されているとあなたは話してくださる。私が弱いと思うとき、私は強いとあなたは話してくださる」と、神の愛を率直に表現した歌。昨年12月には米ABCの情報番組「グッド・モーニング・アメリカ」で披露し、ユーチューブで公開されている公式ミュージックビデオは、12日時点で6600万回以上も再生されている。
同じく今年初受賞となったケリーは、人気ゴスペル歌手カーク・フランクリン(49)が全面バックアップした2枚目アルバム「Hiding Place」で、最優秀ゴスペル・アルバム賞を、同アルバム収録の「Never Alone」で最優秀ゴスペル楽曲賞を受賞した。旧約聖書の一節「あなたはわたしの隠れが」(詩編32:7)から名付けた「Hiding Place」は、収録全8曲の作詞にフランクリンが携わっている。この内「Never Alone」はケリーとフランクリンの共同作詞で、曲中でもフランクリンがヒューチャリングしている。
「言葉を話し出す前からメロディーを口ずさんでいた」と話すケリーは、ジャマイカ、プエルトリコ系の父親と、アイルランド、ドイツ系の母親という多様な背景を持った歌手。クリスチャンではあるが、自身の音楽はキリスト教音楽だとは捉えていないとし、デビューアルバム「Unbreakable Smile」はR&Bの影響を受けたポップ調の曲が多かった。その後、キリスト教関係の音楽にも裾野を広げ、「Hiding Place」は本格的なゴスペルアルバムとなっている。
受賞を受けケリーは、自身のツイッターにコメントを投稿。「何てワイルドな日なの。トロフィーを受け取ったとき、大粒の涙をどうやって止めればよかったのか、いまだに分かりません。子どもの頃からの夢でした。一夜に2つも受賞するなんて想像もしませんでした」と感動を露わにした。
一方、フランクリンは「Never Alone」により、アカデミー賞の受賞回数を13に伸ばした。
「Unexpected」で最優秀ルーツ・ゴスペル・アルバム賞を受賞したクラッブは、2010年の受賞以来、2度目の受賞となった。
この他、南アフリカのソウェト・ゴスペル・クワイアが、「Freedom」で最優秀ワールド・ミュージック・アルバム賞を受賞。2002年に発足したクワイアで、10年に南アフリカで開かれたサッカーのFIFAワールドカップでもパフォーマンスを披露しており、グラミー賞は今回で4度目の受賞。