イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」が今年2月、ナイジェリアの女学校を襲い、女子生徒110人を拉致した事件で、キリスト教徒の少女1人が、イスラム教への改宗を拒否したことで、現在も唯一拘束されている。世界の福音派諸団体は、少女のために祈るよう呼び掛けており、ナイジェリア政府や国際社会に対して、解放に向けた努力を一層強めるよう求めている。
拘束されているのは、レア・シャリブさん(15)。ボコ・ハラムが今年2月19日、ナイジェリア北東部ヨベ州ダプチにある女学校を襲撃した際、他の女子生徒109人と共に拉致された。拉致された女子生徒の大半は、ナイジェリア政府による交渉で3月21日に解放されたが、5人は死亡した。解放された女子生徒は全員がイスラム教徒で、改宗を拒否したシャリブさんだけが、拉致から9カ月近くが経過した現在も拘束されている。
一方、ボコ・ハラムは9月17日、人道支援ワーカー2人を処刑した。シャリブさんについては、生涯奴隷として生きることになると述べている。
赤十字国際委員会によると、国際赤十字で看護師として働いていたキリスト教徒の女性、アリス・ヌガダフさんも3月1日、ボコ・ハラムに捕らえられ、シャリブさん同様、生涯奴隷として生活することになると言われている。
プロテスタント福音派の世界組織である世界福音同盟(WEA)は10月30日、アフリカ福音同盟(AEA)とナイジェリア福音同盟(NEF)と共に、シャリブさんとヌガダフさんの解放を求める声明(英語)を発表した。WEAのエフライム・テンデロ総主事は声明で次のように述べている。
「15歳の少女であるシャリブさんは、イスラム教に改宗することで自分の命を救うこともできました。しかし彼女は、イエス・キリストへの信仰を捨てないことを選びました。そればかりか、自由になることと引き換えに、主イエスとの関係と信仰に固く立ちました。その姿は、私たち全員に対して励ましと模範になっています。シャリブさんとヌガダフさんのために、共にお祈りください。2人が強められ、励ましを受け、自分たちが神の御手の中にいることを確信できますように」
「キリスト者の世界団体として、WEAは、あどけない少女や人道支援ワーカーを拉致し、その信仰故に囚われた方々に改宗や奴隷生活を強要し、人質を無残に殺害するという邪悪な行為を非難します。世界に広がる組織を代表し、殺害された方々のご遺族のために祈り、心から哀悼の意を表明します。また今日、私たちは特に、シャリブさんとヌガダフさんの即時解放を訴えます。2人が自由の身となり、自分で選ぶ通りに生きることができますように」
このナイジェリアでの事件を含め、アフリカでは複数の地域で類似した事件が起きている。AEAのアイア・フォデイカベエンジェ総主事は次のようにコメントした。
「聖書が教える通り、すべての人が神にかたどられて造られ、尊厳を帯びていることを私たちは承知しています。聖書は、私たちが無条件に御言葉に従い、すべての人を自分自身と同じように愛することを求めています。堕落し、罪にまみれた人類に、悔い改めを呼び掛け、救い主であるイエス・キリストを通して神と和解するよう促すことほど、神の愛をうまく表現する方法はありません。すべての人がこの提案を信じ、受け入れるわけではありませんが、これはこの世に対して無害なメッセージであり、福音なのです」