国連児童基金(ユニセフ)は13日、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」がナイジェリア北東部ボルノ州チボクの学校を襲撃し、女子生徒276人を集団拉致した事件から14日で丸4年となるのを受け、ボコ・ハラムによって拉致された子どもの数が2013年以降、千人を超えると発表した。
ユニセフによると、同国北東部で紛争が勃発した09年以降、殺害された教員は2295人に上り、1400校以上の学校が破壊された。そのほとんどが、被害の大きさや治安の悪さから今も閉鎖されたままだという。
ボコ・ハラムは、現地のハウサ語で「西洋の教育は罪」という意味を持ち、イスラム法に基づく国家の樹立を目指して、同国北東部を中心に戦闘や襲撃を繰り返している。AFP通信によると、ボコ・ハラムとの戦闘により、これまでに少なくとも2万人が死亡し、200万人が避難民となっている。
ユニセフ・ナイジェリア事務所のモハメド・マリック・フォール代表は、「チボクの拉致事件から4年が経過し、私たちはあらためて、ナイジェリア北東部の子どもたちが衝撃的な規模で攻撃を受け続けていることに気付かされます」とコメント。「子どもたちは常に、自分の家や学校、そして公共の場で、残虐な暴力行為の標的となったり、目撃したりしています」と訴えた。
ナイジェリアは人口が約1億9千万人とアフリカ最大の国で、憲法上は民主的世俗国家と定められている。宗教はイスラム教が北部、キリスト教が南部で多く、キリスト教徒に対する迫害状況は、国内でも地域によって大きく異なる。
迫害監視団体「米国オープン・ドアーズ」がキリスト教徒に対する迫害の激しい国をまとめた報告書(英語)では、ナイジェリアは昨年、世界で14番目に迫害が激しい国となっている。それによると、ボコ・ハラムやイスラム系遊牧民のフラニ族などの過激派グループによる迫害が、北部や各宗教が入り交じる中間部で激しい。
米国オープン・ドアーズは、「土地や家畜を奪われることはもちろん、殺されたり、負傷させられたり、所有物を奪われたりすることはごく普通のことになっています。ナイジェリア北部では、キリスト教徒は差別され、排斥されるのが当然な第2級市民としてみなされ、社会全体が脅威となっています」と報告している。
チボクで拉致された女子生徒276人は、その多くがキリスト教徒だったとされている。拉致事件から約半年後に公開した動画でボコ・ハラムは、少女たちを「イスラム教に改宗させ、結婚させた」などと伝えていた。
昨年5月には、ナイジェリア政府が交渉に成功し、82人が解放されたが、事件から4年たった今も100人以上が行方不明となっている。