ナイジェリア大統領府は7日、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」との交渉が成功し、拉致されていた女子生徒276人のうち82人が解放されたと発表した。生徒のほとんどはキリスト教徒で、同国北東部のボルノ州チボクで3年前、ボコ・ハラムに拉致されていた。
解放された少女たちは、北東部の町バンキで軍の保護下に置かれ、その後、健康状態を確認するため首都アブジャに移送された。アブジャではムハマドゥ・ブハリ大統領とも面会した。
ナイジェリア政府は少女らの解放と引き換えに、拘束中のボコ・ハラムの戦闘員の一部を釈放した。大統領府は声明で「大統領はチボクの少女たちと、ボコ・ハラムの捕虜全員の安全な帰還を繰り返し確約してきた」と声明で述べた。
「少女たちを取り戻す会」のバッキー・ショニバレさんは、「これは私たちにとって、とてもうれしい知らせです。拉致された少女たちの80人以上が帰還してきたのですから」とスカイTVに語った。「拉致生活の苦しみについては聞かされていました。少女たちは飢えに苦しみ、虐待されているとのことでした。その話は、拉致された少女の一部が以前、(妊娠して)子どもを連れて帰ってきたときに知りました。少女たちの幾人かは、性的虐待を受けていたと言っています」
しかし、拉致された少女たちのうち、今回解放された82人を除いても、いまだに110人以上の行方が分かっていない。
ボコ・ハラムの指導者アブバカル・シェカウ容疑者は過去に、少女たちを市場で売ると脅しをかけていた。
シェカウ容疑者は57分間にわたる動画の中で、「私はお前たちの娘を拉致した。私が西洋教育の学校の少女を拉致したので、お前たちは動揺している。西洋教育は終わらなければならないと私は言った。娘たちよ。お前たちは嫁ぎ、結婚すべきだ。繰り返す。西洋教育は破たんする。私はお前たちの娘を拉致した。アラーの名によって、娘たちは市場で売りさばく。私は12歳の女を嫁がせる。9歳の少女も嫁がせる」
ボコ・ハラムは、これまで数多くのキリスト教徒を殺害し、幾つもの教会を攻撃してきた。また、ナイジェリア北部のイスラム教が支配的な地域に、イスラム教国家を創設しようとしているとされている。さらに、拉致した少女たちについては、イスラム教に改宗し、結婚したとも主張していた。
シェカウ容疑者は動画の中で、「200人余りのチボクの女子生徒たちがイスラム教に改宗したことを、お前たちは知らないのか」「生徒たちは、すでにコーランの2つの章を暗記している」「娘たちの今の状況を知ったら、お前たちの幾人かは、悲しみのあまり死ぬかもしれない」とも語っている。
ボコ・ハラムの襲撃は、14年4月14日夜から15日未明にかけて発生。チボクにある公立の女子学校を襲い、寮にいた生徒の少女ら数百人に外に集まるよう命じた。その後、戦闘員らは倉庫に押し入り、食糧をすべて奪った。
拉致されたある少女は、中東の衛生テレビ局「アルジャジーラ」に対し、「彼らはその後、私たち全員を正門に移動させ、奪った食糧を車に積み込み、私たちも車に乗るよう言いました」と当時の様子を語っている。「女の子たちは靴も履かず、ベールも被っていない状態で連れて来られ、戦闘員たちは学校に火をつけました」。そしてその後、少女たちはボコ・ハラムの戦闘員らに連れ去られたという。