信じ難い数字だが、ナイジェリアを中心に活動するイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」によって殺害された人数は、これまでに推定で10万人に上るという。さらに、ボコ・ハラムによって避難を余儀なくされ、国内避難民となった人は200万人を超えるという。
ナイジェリアのオンライン新聞「プレミアム・タイムズ」(英語)によると、これらの数字は、ボコ・ハラムによる被害が多発しているナイジェリア北東部ボルノ州のカシム・シェティマ知事が13日に発表した。ボコ・ハラムによる残虐行為に関するこのような報告が公表されたのは初めてだという。
プレミアム・タイムズによると、死者10万人という数字は、ここ数年におけるボルノ州の各地域の指導者らの推定に基づいたもの。シェティマ知事によると、国内避難民は2016年末の時点で、約211万4千人に上り、このうち約53万8千人は個々の避難キャンプで生活し、約15万8千人が公営キャンプで避難している。また、約7万3千人が国外に避難し難民となっている。さらに、身寄りのない孤児は約5万2千人、夫を失った女性は約5万5千人に上るという。
ナイジェリアからのキリスト教徒の追放を掲げるボコ・ハラムは09年以降、庁舎や教会、町と地域社会全体を襲撃し、死と破壊の容赦ないテロ活動を行っている。ナイジェリアの人口約1億7300万人のうち、キリスト教徒はその半数以上を占めている。教会に対する攻撃も激しく、ボコ・ハラムによって破壊された教会は、これまでに900余りに上ると報告されている。
ムハンマド・ブハリ大統領は昨年、政府軍がボコ・ハラムに大きな打撃を与えたとしていたが、依然として軍事的目標や民間人を狙った散発的な攻撃が続いている。
先月13日には、民間人の女性を装った女性戦闘員による自爆テロが発生した。女の自爆犯2人が乳児を抱いて母親を装い、自警団の検問所を通り抜けた直後に自爆。犯人の女2人と乳児2人、他の4人が死亡した。こうした状況から、当局が自爆犯を特定し、事前にテロを食い止めることがいっそう困難になっている。
ボコ・ハラムはまた、拉致した少女たちを自爆犯に仕立て、テロ攻撃を行っている。昨年12月には、10代の少女2人を自爆させ、56人を殺害した。
一方、ボコ・ハラムに加え、ナイジェリアのキリスト教徒たちは、フラニ族の遊牧民たちの脅威にもさらされている。西アフリカ諸国に広く分布するフラニ族の遊牧民と、ナイジェリアのキリスト教徒の農耕民との間では、土地の利用をめぐって度々衝突が発生している。今年だけでも、土地をめぐる争いで数十人のキリスト教徒がフラニ族によって殺害されたという。