世界福音同盟(WEA)総主事のエフライム・テンデロ監督は8月23日、米ニューヨークの国連本部でアントニオ・グテーレス事務総長と会談し、人権や信教の自由、社会問題をめぐる共通の懸念について協議した。120カ国余りで約6億人に上る福音派に仕え、国連経済社会理事会(ECOSOC)の特別協議資格を持つWEAは、長年にわたり多くの国連機関や関連機関と関わってきた。
グテーレス氏は、テンデロ氏らWEAの代表団をニューヨークの事務所で歓迎し、感謝の意を表明した。グテーレス氏は2005年から15年まで、スイス・ジュネーブで国連難民高等弁務官を務めた折に、WEAと個人的な関係を築いていた。世界各地にある福音同盟と協力関係にあるWEAのジュネーブ国連連絡事務局は、国連加盟国の人権記録が数年ごとに見直される国連人権理事会の普遍的・定期的審査(UPR)の一環で加盟各国から提出される詳細な報告書を提供する機関として知られている。またグテーレス氏は、欧州に避難してくる難民のニーズに対応するため福音派が果たしてきた役割についても評価した。
テンデロ氏は、グテーレス氏が事務総長に任命されてからの2年間に、戦争や飢饉(ききん)、人間による環境破壊、多くの国々の間における対立など、世界的な問題があったことを取り上げ、グテーレス氏が世界に対し常に慎重かつ配慮ある対応をもって臨み、人間が持つ暴力的傾向に対抗するための思慮深い計画を多くの人々に提供したと語った。
テンデロ氏は、自身の出身国であるフィリピンのミンダナオ島における危機的な状況の中で、対立していた政府とモロ・イスラム解放戦線の両者に対し、「(争いではなく)平和に努める」よう求めた自身の経験について語った。また、WEAが福音派の世界機関として「私たちは宗教間の対話と平和の構築に徹していると自覚しています」と表明。「結局のところ、主イエスは平和の模範を示してくださいますが、それに加えてご自身の存在そのものと力とによって、私たちの心の中に私利私欲ではなく主に従う願いを引き起こしてくださいます」と述べた。
この他、権利が侵害されているキリスト教徒をめぐる懸念や、そうした問題に対するWEAの信教の自由委員会の対応について、幾つかの最新情報を共有した。また、WEAの人身売買対策部門の働き、特に若者が売春など現代の奴隷形態に陥っている国々におけるキリスト教団体と民間組織の協力について概説した。
最後にテンデロ氏は、2019年8月にマニラで開催される予定の「ジーザス・グローバル・ユース・デー」(JGYD)に向けた計画についても話し、JGYDが国連の国際青少年デーと同日に行われることを伝えた。テンデロ氏は、JGYDの参加者は国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)が掲げる幾つかの目標の達成を求めて集まることになると述べた。
国連はSDGsについて「すべての人々にとって、より良くかつ持続可能な未来を実現するための青写真」だとし、「貧困や不平等、気候問題、環境破壊、繁栄、平和、そして正義に関する問題など、われわれが直面する世界の諸課題」に取り組むものだと説明している。テンデロ氏は、これらを達成するためには祈りの力が必要だと指摘。WEAはそれぞれの地域における特定のニーズに対応するために、世界の福音派が協力するよう祈り、またそのために信者に働き掛けていくことを約束した。