世界福音同盟(WEA)総主事のエフライム・テンデロ監督が23日、東欧のコソボ共和国を訪問し、同国のハシム・サチ大統領と会談した。今回の訪問は、WEAの加盟団体であるコソボ・プロテスタント福音教会(KPEC)が、宗教改革500周年の記念行事のためにテンデロ氏を招待したことで実現した。
サチ氏の表敬訪問には、KPEC会長のドリトン・クラスニーキー牧師と、宗教改革500周年記念行事の責任者であるフェミ・カコリー牧師らが同行した。
テンデロ氏は会談で、サチ氏が1週間にわたる記念行事を後援することに感謝の意を表明。また、信教の自由を保護し、さまざまな宗教団体の調和を促進し、将来的な法改正に向けてこうした原則をすべての宗教に対して順守し続けるよう奨励しているとして、サチ氏を称賛した。
サチ氏も、記念行事は国内のさまざまな宗派間の対話と相互理解を促進する政府の方針と一致していると述べ、謝意を表明した。また、過去の暴力の歴史に終止符を打つため、自身が平和と和解を先導してきたことについて言及。KPECが同国の宗教的調和に貢献し、地域教会の開発に従事していることを評価した。
テンデロ氏は、WEAを代表して『Evangelicals Around the World(世界に広がる福音派)』という書籍と記念の表彰盾をサチ氏に贈呈。大統領府の図書館には、アルバニアのプロテスタント史に関する希少な出版物のセットを贈呈した。
クラスニーキー氏は、KPECが宗教改革500周年の式典にサチ氏を招いている旨を再度打診。式典には、学界やメディア界、ビジネス界、宗教界、政界などからさまざまな指導者が出席する予定となっている。
テンデロ氏は最後に、コソボの発展と平和、繁栄に向けて知恵と導きを求めるサチ氏のために祈りをささげた。
◇
KPECはコソボのプロテスタント福音派の組織で、2017年現在、国内の17の自治体にある46教会と諸団体が所属している。WEAには09年に加盟。WEAの地域組織である欧州福音同盟(EEA)にも加盟している。
コソボはセルビア共和国の自治州だったが、多数派のアルバニア人と支配層にあった少数派のセルビア人との間で対立が深まり、国際社会も介入するコソボ紛争(1999年)などを経て、2008年に独立を宣言。現在は日本を含む100カ国以上が国として認めているが、セルビアやロシア、中国など80カ国以上は承認を拒否している。
人口約180万人のうち、9割以上を占めるアルバニア人の大半がイスラム教徒だが、イスラム教が国教ではない。キリスト教の歴史は古く、セルビア人の多くはセルビア正教を信仰しており、アルバニア人も約3パーセントはカトリックだとされている。プロテスタントは国内で法的に保護されている4宗教の1つとなっているが、数は少なく、KPECがコソボのプロテスタント教会を代表する組織となっている。