見よ。子どもたちは主の賜物、胎の実は報酬である。(詩篇127:3)
先日、政府高官が「子どもは3人以上産みなさい」などと発言したことがマスコミで取り上げられ、問題になっていました。子どもを産むとか産まないとか、上から強要されることではありません。中には子どもがどうしても欲しくて不妊治療を続け、悔しい思いをしている人も少なくないのです。
このニュースを耳にしたとき、とても嫌な記憶を思い出しました。私たちはいわゆる団塊の世代に属しています。ベビーブーマー世代ともいわれ、小学校、中学校の時、教室はすし詰めでした。受験や就職のために東京や大阪に行くときは、列車の切符が取れなくて徹夜して並ぶ人もいたくらいです。この頃は、よく人口過剰という言葉が用いられていました。
私が結婚して3番目の子どもが生まれたときのことですが、保健所の相談員という人が2人やってきて、「あなたは正しい家族計画について聞いたことがありますか」と尋ねるのです。「避妊について正しい知識を持っているか」とか、「家族は夫婦2人、子ども2人の4人家族が理想だ」と言うのです。保健所の結婚講座を受ければ、家族計画と避妊について十分に教えているということでした。
私はその当時、どのように反論したらいいのか分からずに聖書を持ってきて、創世記の「生めよ。ふえよ。地を満たせ」(1:28)を示しながら「聖書には家族計画のことは示されていません」と言いました。そうすると、子どもが多ければちゃんとした教育ができないとか、適切な環境維持ができないと言われました。「あなたのような非常識な人がいるから、日本は豊かな国になれないのだ」と言われました。つい35年くらい前の話です。
日本は国策として家族計画を進めていた時期があり、その成果が現在あり、少子化に向かっているのではないかと思います。
現在、日本が抱えている社会問題の90パーセントは、人口が増えれば解決するといわれています。労働力不足、経済成長の鈍化、各地の空き家問題、限界集落のことなど、人口が増えてくれば自然になくなります。
いのちの問題も真剣に考える必要があります。日本では、堕胎が簡単に行われているように思います。経済的理由を口実に堕胎を選択できることは、大変おかしいと思います。日本で年間、60万件の堕胎手術が行われているともいわれます。日本の地方都市が1つ消滅してしまうかのような事態が行われていることを思えば、少子化対策のためにしなければならないことが示されているように思います。
政府の高官は国民に「3人以上産みなさい」と強要する前に、30年くらい前まで行っていた国の政策が間違っていたことを認め、反省しなければならないと思います。
ある意地悪な人が「生めよ。ふえよ」という教えに従って人口が増えたら、この地球は人類で溢れ、食料不足など深刻な問題が起きるのではないかと指摘しました。それに対して、神の示されたことに従うなら、必ず神が解決策を示してくださるという意見もあります。
生命は神が与え、神が支配しておられます。生命の問題は、決して人の都合や意思でコントロールしてはいけないと思います。日本の若者、15歳から39歳までの統計ですが、死因の第1位が何と自殺だそうです。この中には、奨学金返済に苦悩する人やいじめ問題に追い詰められている人も含まれています。社会の制度を変革して若者が生きやすいようにすることで、2万人から3万人の生命が救われます。「子どもは国の宝」という言葉がありますが、子どもを守っていく政策に予算を惜しんではならないと思います。
神は彼らを祝福された。神は彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」神は仰せられた。「見よ。わたしは、全地の上にあって、種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木をあなたがたに与える。それがあなたがたの食物となる」(創世記1:28、29)
神が示されたこの御言葉は、どんなに時代が変わろうとも揺るがされることはありません。私たちは神のみ旨に従って、結婚を重んじ、子どもを産み、育てていく使命が与えられています。また、神が与えてくださったこの地球の環境を守り、維持していくのも、人類の大切な使命です。
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