英国国教会は、幾つかの教区に対し計約2700万ポンド(約39億4千万円)の助成金を支給することで、新たに100以上の教会を開拓しようと計画している。
この計画は、同教会トップのカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーも支持しており、神への忠実さと地域に対する奉仕の「素晴らしい実例」だとしている。
「英国国教会の存在理由は、言葉と行動を通してイエスの良き訪れを分かち合うことです。全国の教会はいのちであふれていますが、その目的の一つは地域社会を愛することであり、それに仕えることなのです。私はこの助成金を特にうれしく思っています。なぜならそれは、この国で最も必要とされている所にイエスへの献身を示すものだからです」
「このプロジェクトは、神に忠実であることを求め、愛と使命において地域社会に忠実であることを求める教会の素晴らしい実例です。この新たな取り組みには、英国国教会の決意が現れています。最も恵まれない地域の人々に適した方法で、イエス・キリストの良き知らせを分かち合うという決意です」
カンタベリー教区が管轄するケント州マーゲイトには、「イグナイト」と呼ばれる先駆的なカフェスタイルの教会がある。同教区では、同州内のメードストンやシェアーネス、シッチングボーン、アシュフォード、ハーンベイといった沿岸地域の町や、英国とフランスの間に浮かぶ英王室領ガーンジー島の首都セントピーターポートなどで、計9つの教会を開拓する計画で、イグナイトはそのモデルとして使われることになる。イグナイトは、マーゲイトにある聖パウロ教会が10年前に考案したもので、マーゲイトの恵まれない人々への伝道を目的としている。
この他に助成金を受けるのは、ブリストル教区、イーリー教区、エクセター教区、レスター教区、マンチェスター教区、ニューカッスル教区、ピーターバラ教区、サウスウェル・ノッティンガム教区、ウスター教区となっている。
この助成金は英国国教会の「戦略開発基金」から、同教会の「刷新と改革」計画の一環として、各教区に支給されるもので、すべての人々のためにすべての場所で成長する教会の創設を目的としている。多くの場合、教会成長を促進するプロジェクトに用いられる。
レスター教区では、助成金は重要な市街地や市町村にある6つの既存教会をつなげるネットワーク支援に使われる。それにより、聖職者を派遣するなどして、より多くの新しい教会を支援することができる。同教区では、これら既存の6教会の礼拝出席者数を1400人に増やすことを目指しており、さらに、礼拝出席者数が20人から50人の教会を確立し、4年ごとの戦略的教会開拓と並行して2年ごとに、これまでにない新しい形態の教会を1つ生み出すことを目標にしている。
サウスウェル・ノッティンガム教区では、5年後の2023年までに75の新しい礼拝共同体(教会)を開拓する計画を立てている。さらに、信徒の弟子化と霊的成長に焦点を当てた弟子訓練学校も創設する計画だ。
ニューカッスル教区は、市の中心部に教会を1つ新設することで、都市部における教会生活の促進を目指す。その教会に聖職者を配置することで、その地域にある他教会の支援にもなるという。新設する教会は、市街地で生活したり、通勤・通学したりしている17歳から45歳をターゲットにする。対象となる学生や社会人は、その家族を含めると、約6万7千人に上るという。