礼拝出席者が減少の一途をたどる英国国教会で、収入が過去最高を記録し、初めて10億ポンド(約1500億円)を超えた。
英サンデー・タイムズ紙(英語)などによると、最新となる2015年の収入は、1万2600小教区(教会)で計10億2600万ポンド(約1540億円)となり、14年の9億8900万ポンド(約1480億円)を上回った。支出も前年の収入に近い9億7100万ポンドと、過去10年間で最高を記録したが、収入増加により繰越金は5440万ポンド(約81・4億円)となった。
収入の内訳を見ると、定期献金が全体の約3分の1で、最も大きな割合を占める一方、席上献金は6パーセントの5720万ポンド(約85・6億円)だった。その他の主な収入源は、助成金や資産所得、献金に対するギフト・エイドなどだった。ギフト・エイドは、納税者が慈善団体に寄付する際、控除される所得税額分も寄付金に上乗せできる制度。
支出では、小教区から大教区(主教区)に支払われる「分担金」が3分の1を占め、運営費、修繕費、給与それぞれが約10分の1を占めた。
一方、額面では過去最高の収入を記録したが、実質的には最高額ではないという。07年の収入は8億9900万ポンド(約1350億円)だったが、これは物価上昇などを考慮して計算すると、15年では11億ポンド(約1650億円)相当になる。
「小教区の収入と定期献金は過去10年間増加しているが、支出も増えている」。15年の小教区財務統計(英語)は、「小教区が地域社会を支える働きを続けるためには、収入が引き続き増加することに加えて、インフレに追い付いていく必要がある」と指摘する。インフレに伴い人々の生活費が上昇する一方、賃金が停滞状態にあることから、教会はフードバンクなどの支援をより積極的に行っていく必要があるという。
この他、英国国教会は約8億ポンド(約1200億円)の資産を保有しており、資産運用による昨年の投資利益率は17パーセント余りだった。
昨年の発表によると、英国国教会の週間出席者は、人口の2パーセント未満となる100万人を初めて下回り、日曜日の礼拝出席者は76万人に減少した。