カトリックとプロテスタントの諸教会が毎年合同で開催している「キリスト教一致祈祷週間」が18日から始まる。毎年、担当の国・地域が持ち回りで準備をしており、今年はカリブ諸国が「主よ、あなたの右の手は力によって輝く」(出エジプト15:6)をテーマに選んだ。期間中は、日本を含む全世界でさまざまな集会が行われる。
キリスト教一致祈祷週間は1908年、米メリーランド州出身のポール・ワトソン神父の提案で始まった。ワトソン神父は聖公会の司祭だったが、アッシジの聖フランシスコに強くあこがれ、キリスト教の再一致を求めて新しい修道会「アトンメントのフランシスコ会」を設立。当時祝われていた聖ペトロの祝日(1月18日)と、聖パウロの祝日(1月25日)を結ぶ8日間を同週間と定めて祈るようになった。その後、1916年に当時のローマ教皇ベネディクト15世が同週間の順守を求める教書を公布するなどし、全世界に広がっていった。
第2バチカン公会議後の1968年以降は、ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会(PCPCU)と世界教会協議会(WCC)が、参加を呼び掛ける小冊子を毎年共同で発行するようになった。日本でも、日本キリスト教協議会(NCC)とカトリック中央協議会が日本語の小冊子を発行するなどし、相互の一致を促している。
NCCの発表によると、今年日本では、岩手、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、広島、愛媛、兵庫、長崎、鹿児島の11都県で、祈祷会や礼拝など各種集会が予定されている。東京の日本聖公会神田キリスト教会では21日に集会が行われ、カトリック中央協議会事務局長の宮下良平神父が説教するほか、NCC議長の小橋孝一牧師が司式をする。また、山梨県では6日にわたり6会場を巡る連夜祈祷会が行われる。
NCCとカトリック中央協議会が発行した小冊子には、▽2018年のテーマの解説、▽エキュメニカル礼拝式文、▽8日間の聖書の黙想と祈り、▽カリブ諸国のエキュメニズムの現状、などが盛り込まれている。
「2018年のテーマの解説」には、カリブ諸国の歴史や現状も概説されている。主にカリブ海に浮かぶ島々で構成されるこの地域には、多様な民族、言語、宗教的伝統が混在するとともに、欧米諸国の海外領土から共和国まで、さまざまな政治制度、憲法制度が混在する。植民地政策と奴隷制度の長い歴史もあり、今もその傷跡が深く、現代の課題の多くは、こうした過去の傷跡の上でさらに悪化したものだという。
そうした中、今年のテーマは、エジプトの奴隷制からイスラエルの民を救い出した神に、モーセとミリアムがささげた賛歌(出エジプト15:1〜21)から選ばれた。1981年には、同じテーマを扱った賛美歌「神の右の手」も作られ、カリブ諸国の人々にとってこの歌は、神による勝利をたたえる歌となっているという。
カリブ諸国には、カトリック教会や聖公会などの幾つかの教会が植民地時代初期から来ており、その他の諸教会は18世紀から20世紀初期まで、宣教活動の一環として到来した。最近では、福音派やペンテコステ派が積極的に活動している。地域のエキュメニカル組織である「カリブ諸国教会協議会」(CCC)には33教会が加盟している。WCCの3代目総幹事、フィリップ・アルフォード・ポター牧師(ドミニカ、メソジスト)を排出し、世界のエキュメニカル運動に大きく貢献してきた地域でもある。
小冊子「2018年キリスト教一致祈祷週間」の申し込みはすでに終了しているが、PDFファイルは、カトリック中央協議会のホームページで公開されている。国内の集会に関する情報は、NCCの「2018年一致祈祷週間集会開催地のお知らせ」を。