日本キリスト教協議会(NCC)とカトリック中央協議会は18日、「イエスは『水を飲ませてください』と言われた」(ヨハネ4:7)をテーマに、カトリック神田教会(東京都千代田区)で、2015年キリスト教一致祈祷週間東京集会を開催した。
NCC議長の小橋孝一牧師とカトリック東京教区の幸田和生補佐司教の司式で行われたこの集会は、両協議会が毎年開催しているキリスト教一致祈祷週間の一環として行われたもので、一部の地域を除いて25日まで全世界で行われている。
両協議会がこの週間のためにポスターと共に作成した小冊子『2015年キリスト教一致祈祷週間』は、世界教会協議会(WCC)と教皇庁キリスト教一致推進評議会が共同で発行した資料に基づいている。
集会では、前奏・準備のあと、礼拝奉仕者が入堂。プロテスタントから25人、カトリックから49人の合計74人が参加し、賛美歌「水のこころ」を共に歌った。そして、祈りの招きの後、罪の告白とキリエでミサ曲「あわれみの賛歌」を歌った。さらに、典礼聖歌352番「聖霊の続唱」を歌った後、参加者たちは「神の国と神の義をまず求めなさい・・・」と歌うアレルヤ唱を斉唱した。
サマリアの女について記されている、ヨハネによる福音書4章1〜42節が朗読された後、イエズス会修道士のブラザー、 マヌエル・エルナンデス氏が、事前に参加者に配布された原稿に「キリスト教が一致するためには会話が大切です」と題した説教を行った。
エルナンデス氏は、「みんな伝道しなければならないのです。私たちは教会へ来ても知らん顔をして自分の祈りが終わったら満足している。それは伝道者ではない。キリストを信じる人を育まなければ」と語った。
「旧約聖書のサムエルは神様を知らなかったが、サムエルは4回も声を掛けられたら、知っている人(先生)に話し掛けた」とエルナンデス氏は付け加えた。
「イエズスを知らせる人は、(人を)知っている人です。人と会わなければその人を知らない。その人を知らなければ、その人を愛さない。見て、聞いて、考えるのです」とエルナンデス氏は語った。
エルナンデス氏は、サマリア人がユダヤ人と口をきかなかった一方、イエスがサマリアの女としたことは「会話の始まり」だとした上で、「一番大事なものは会話。会話がないから、考えばかりで誰にも話さない」と述べた。
「私たちの役目は簡単です。親切にすることです。おせっかいと親切は違う。親切に話すのです」とエルナンデス氏は教え、「人を見ること。人が言うことをよく聞くこと。聞くことをよく考えること。(そして)話すこと。これが一番大事」と強調した。
その上でエルナンデス氏は、「最後に、イエス様の御言葉は『お互いに愛し合いなさい』。お互いに裁かないでください。愛する人は裁かない人です」と結んだ。
参加者はその後、信仰と一致の応答を表すために、NCC共同訳による「ニカイア・コンスタンティノポリス信条」を一緒に唱えた。そして、司式者が「皆さん、心を合わせ、歌声を合わせて、一致のうちに、永遠の慈悲の神に祈りましょう」と呼び掛けると、参加者全員がこれに答唱した。
それから、サマリアの女の箇所にちなみ、困難の中にある女性たちのため、特に薬物依存の女性のためのセンターと、福島から首都圏に避難している母子家庭の支援に当たっている団体のために献金がささげられた。
その後、聖歌・賛美歌「大波のように」が歌われると、司式者が「神よ、私たちがあなたの御言葉と恵みの働きにささげられる生けるいけにえとなるようにしてください」と祈った。
さらに、参加者は聖公会とローマ・カトリック共通訳の「主の祈り」を共に唱えた後、近くの人たちと互いに平和のあいさつを交わした。
そして派遣と祝福の部で、司式者が「今、私たちを痛みと苦しみのあるこの世界と隣人のもとへ遣わしてください」「私たちをキリストの一つのからだに結び合わせた聖霊が、この世界に正義と平和と和解とを求め、神の国のいのちを生きるようにと、私たちを整え、遣わしてくださいますように」と祈祷した。
最後に、小橋議長と幸田補佐司教が共に「全能の神、父と子と聖霊の祝福が、皆さんの上にいつもありますように」と声を合わせて祈ると、参加者はこれに「アーメン」と答え、讃美歌21・7番「ほめたたえよ、力強き主を」を共に歌って退堂、集会は閉祭となった。