フランスのストラスブールで、カトリック教会や世界教会協議会(WCC)、世界福音同盟(WEA)、ペンテコステ世界親交会(PWF)の代表者らが参加する会議が行なわれ、グローバル・クリスチャン・フォーラム(GCF)は9日、世界中のキリスト教徒や教会に対する差別や迫害、暴力をさらに摘発し、国際的対応を共に求めることで一致した。
これは、2015年に向けたキリスト教徒の「差別迫害・殉教」の問題に関する世界会議で決められたもので、以下の3つの重要な行動に着手することになったという。
- 世界的レベルの教会や団体を情報源とする、宗教的迫害に関する最近の詳細なデータの調査。
- 「差別・迫害・殉教」に関する文言の検証を伴う用語集の作成。用語や概念の多くが誤って定義され、様々な形で使われているため。
- 宗教的迫害が持つさまざまな性質を探求するための4カ国への「訪問団」。この過程では、法律の順守と世俗的慣行がキリスト教信仰を持つ人たちへの差別につながっている、世俗化された国々で差別が起きているという可能性も検証する。
GCFのラリー・ミラー氏は、「GCFの存在目的は、全ての伝統の諸教会が共通の課題に共に向き合うことができるようにすることである。これらの取り組みの先駆けとなるのが、自らの社会で差別や迫害、殉教に直面している世界中のキリスト教徒を支援することであるというのは、とてもふさわしいことだ」と述べた。
WCCの副総幹事であるヒエルケ・ウォルターズ牧師・博士は、「このような多様な背景を持つ諸教会やエキュメニカル組織が、困難な時を経るキリスト教徒たちを支えようと一緒に活動する用意ができているというのは、力強い希望の兆しだ。信教の自由は、キリスト教徒であれ、イスラム教徒であれ、その他のどんな宗教の信者であれ、私たちみんなにとって大切だ」と述べた。
また、「この共同の取り組みは、シリアやイラク、エジプト、ナイジェリアのような国々のキリスト教徒や教会に寄り添うWCCの取り組みに非常によく沿ったものだ。私たちは、カトリックやペンテコステ、福音主義の伝統を持つ教会や組織と協力して、この大切な働きを強めることができることを感謝している」とウォルターズ牧師は語った。
PWF常務代表のインゴルフ・エルッセル牧師は、「世界のキリスト教をまとめ、差別や迫害、殉教に苦しんでいる人々の声を高く挙げるグローバル・クリスチャン・フォーラムのこの取り組みにわくわくしている。キリストの体における一致の新たな過程のはじまりとなることを望む」と語った。
この会議の成果を受けて、世界各地の地域にある教会指導者たちも、各自の地域における迫害や差別の体験を述べることが求められることになる。また、この会議では、その代表者たちの半数が自らの信仰による差別や迫害ないし暴力を体験した諸教会の出身者とすることが合意された。
キリスト教の諸伝統の垣根を越えて宗教的差別の分野を探求するGCFの取り組みは、それらの全ての教会が、共通の課題に共に立ち向かうことができるようにするために、2011年にインドネシアのマナドで開かれた世界会議によって発足した。世界のキリスト教の主要な流れをまとめた世界的なキリスト教の教会や組織の集まりで、互いの尊敬と理解を助け、共通の課題に共に取り組むことによって、一致を育むべく、全てのキリスト教徒が出会うことができる開かれた場となっている。事務所はフランスのストラスブール。ホームページ(英文)はこちら。