教皇フランシスコは11月30日、バチカン宮殿でイタリア系米国人の映画監督、マーティン・スコセッシ氏と会談を行った。会談は、300人を超えるイエズス会司祭のために同監督の最新映画「沈黙―サイレンス―」(原題:Silence)の特別上映が29日、ローマで行われた後に持たれたもの。バチカン放送局などが30日報じた。
カトリックの家庭に育ったクリスチャンであるスコセッシ監督。映画「沈黙」では、17世紀の日本を舞台に、イエズス会の宣教師たちに対する迫害を描いた。
スコセッシ監督は、妻と2人の娘、映画「沈黙」のプロデューサー、教皇庁広報事務局・事務局長のエドアルド・ヴィガノ氏と共に教皇との謁見に臨んだ。バチカンの声明によると、会談は非常に友好的な雰囲気で15分間続いたという。
会談の中で教皇は、この映画の原作である遠藤周作の小説『沈黙』を読んだことがあると語った。また、イエズス会士らの日本における宣教活動と殉教、長崎の「日本二十六聖人記念館」について話したという。スコセッシ監督は、日本の隠れキリシタンにちなむ物として、南蛮絵師によって日本の技法で制作されたとされる17世紀の聖母画「雪のサンタマリア」(日本二十六聖人記念館蔵)の写真などを教皇に贈った。
映画「沈黙」は、米国ではパラマウント・ピクチャーズから12月23日に限定で公開され、2017年1月に全米拡大公開予定。日本では、2017年1月21日(土)から全国で公開される。