民主党のヒラリー・クリントン候補は9日、米大統領選で共和党のドナルド・トランプ候補に敗北した後の演説で、新約聖書から1節の聖句を引用した。
クリントン氏は演説で、新約聖書のガラテヤ人への手紙6章9節から、「善を行なうのに飽いてはいけません。失望せずにいれば、時期が来て、刈り取ることになります」と述べた。そして、「互いに信頼し合いましょう。弱り果ててはいけません。落胆してはいけません。道のりは長く、やべるべきことが山積しているからです」と続けた。
クリントン氏は普段とは異なり、感情と思いやりをにじませて語った。「私たちは広い心で、率先してトランプ氏に協力しなければなりません」
「私は昨夜、トランプ氏にお祝いの言葉をお伝えし、この国のために共に働いてく旨を述べました。トランプ氏が全ての国民の大統領となることを期待します」
支持者らに向けたコメントの中でクリントン氏は、敗北は「痛みに満ちている」と述べた。「私たちの価値観が認められず、今回の大統領選に勝利できなかったことは残念です」
「皆さんは、米国の良き一面を見せてくださいました。(選挙期間中)皆さんの候補者として過ごせたことは、私の生涯において最も大きな栄誉でした。私は、皆さんの落胆している気持ちが分かります。なぜなら私も落胆しているからです。この敗北は痛みに満ちており、その痛みは長く続くでしょう。しかし、このことを忘れないでください。この選挙戦は、私1人のものではありませんでした。これは愛する祖国を建て上げるための選挙戦でした」
夫のビル・クリントン元大統領や娘のチェルシーさん、副大統領候補のティム・ケイン氏とアン・ホルトン夫人らと並んだクリントン氏は、米国が激しい分裂状態にあることを認めた。
「米国は、思う以上に深く分断されてしまいました・・・。私たちはこの結果を受け入れなければなりません。この国の大統領になるのは、ドナルド・トランプ氏です・・・。私たちは広い心で、率先してトランプ氏に協力しなければなりません」
女性に向けたコメントの中では、こう述べた。「私と私の陣営に信頼してくださった全ての女性の皆さん・・・。皆さんの代表者になれたことは、私にとって最高の誇りでした。私たちは、気高い目標を達成することはかないませんでしたが、いつの日かどなたかが成し遂げてくださることを願っています。思う以上に早くその時が来ることを期待しております。そして、この中継をご覧になっている若い女性の皆さん。皆さんが尊い存在であることを決して疑ってはいけません・・・。皆さんには多くの機会が残されています・・・。皆さんの夢を諦めないでください」
ニューヨークにあるホテルに集まった支持者らから盛大な拍手喝采を浴びたクリントン氏は、退任を控えたバラク・オバマ大統領に賛辞を送った。「バラク・オバマ大統領、そしてミシェル夫人。この国はお2人に大きな感謝をささげなければなりません」「私たちはお2人の優れたリーダーシップに、深く感謝しております」
また、クリントン氏を支えた家族に感謝の意を表した。「ビル、チェルシー、マーク、シャーロット、そしてエイダン。あなたたちを愛する私の気持ちは、言葉では言い尽せません。私が励ましを必要としていたときに、あなたたちは全国を駆け巡って私を応援してくれました」
さらに、選挙陣営とスタッフにコメントを述べた。「皆さんはこの選挙戦に心血を注ぎ込んでくださいました・・・。皆さんほど優秀な選挙スタッフは、期待することも望むこともできません」
「そして大勢のボランティアの方々や、地域の指導者、活動家、組合主催者の皆さん。全員、前のほうに出て来ていただけますか・・・。皆さんの声が聞こえるように前のほうにお出でください」
また、若者らに向けてこう述べた。「皆さんもこれから、成功や失敗を経験すると思います。今回の敗北には心が痛みますが、正しいことのための闘いは尊いという信念を、これからもどうか持ち続けてください」