神の愛の宣教者会が主催する「コルコタの聖テレサ(マザー・テレサ)列聖記念ミサ」が19日、東京カテドラル関口教会(東京都文京区)聖マリア大聖堂で執り行われた。約1600人が集まり、コルコタの聖テレサの力強い取り次ぎを願い、愛の行いを実践できる恵みを祈った。
ミサの始まる1時間以上も前から、会場はマザーを愛する人々であふれていた。入祭の歌「主に愛されて」の流れる中、この日司式を務めた東京大司教区大司教・ペトロ岡田武夫司祭らが入祭し、ミサが厳かに始まった。
入祭のあいさつ、回心、あわれみの賛歌、栄光の賛歌、集会祈願と続いた後、「ことばの典礼」が行われた。第一朗読では「イザヤの預言」(イザヤ58:6~11)、第二朗読では「ヨハネの手紙Ⅰ」(Ⅰヨハネ4:7~16)、そして福音朗読で「マタイによる福音」(マタイ25:31~40)が朗読された後、岡田司祭が説教を行った。
初めに、第二朗読で朗読されたヨハネの手紙Ⅰを通して岡田司祭は、父である神は、御子イエスを遣わし、神の愛、すなわち神のいつくしみを示され、御子によって互いに愛し合うことをお命じになったことを伝えた。その上で、「目に見える兄弟を愛さない者は、目に見えない神を愛することはできない。私たちは日々、兄弟を、隣人を愛するように定められている。隣人を愛することは、主イエスにお仕えし、主を愛することにほかならない」と語った。
続いて、教皇フランシスコが「いつくしみの聖年」で引用する御言葉、「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたことは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイ25:40)が、第一朗読のイザヤ書58章の教えと一致することを述べ、「日々このような神の加護を、神のいつくしみを実行するためには、自分自身を無にし、絶えず古い自分は死に、新しい自分に生まれ変わる努力が必要であり、そのために祈りがささげられなければならないのです」と話した。
岡田司祭は、偶然見つけたというマザー・テレサの祈りの冒頭、「イエスよ、私を解放してください。評価されたいという思いから、重んじられたい、ほめられたいという思いから、他の人よりも好まれたいという思いから、相談されたいという思いから、認められたいという思いから私を解放し、救ってください」を紹介し、「聖テレサはこの祈りをささげながら、毎日、古い自分は死に、新しく生まれ変わる努力をしてこられたのではないかと思うのです。私たちは、この祈りの趣旨をもっと深く理解し、そして、自分自身の祈りとして、大切にしていきたいと思います」と話を結んだ。
使徒信条を唱和し、共同祈願を行った後、壇上に置かれたマザー・テレサの肖像画に花がささげられた。感謝の典礼では、交わりの儀として主の祈りをささげ、平和のあいさつを交わした後、聖体拝領が行われた。聖体を渡す司祭らのもとに長い行列ができ、会衆一人一人が司祭から直接聖体を受け取った。
閉祭の中で、神の愛の宣教者会院長のジャヤ・マリアシスターがあいさつを述べた。シスターは、この日のミサのために手と心をささげてくれた多くの人々に感謝の意を示し、マザー・テレサが日本を4度訪れたこと、日本を心から愛していたことを伝えた。また、多くの日本人が、マザーの招きに応じていろいろな方法で、マザーの示す愛の奉仕活動に参加していることに触れた。
シスターは、「私たちは今、神のいつくしみの聖年を祝っています。私たちがいつくしみ深い神の深い愛を体験し、多くの人々と共にそれを分かち合うことができますように、新しい聖人テレサを通して祈りたい」と語った。
最後に、マザー・テレサ列聖準備のために作られたという「小さな祈り」がささげられた。
御父の御子である主イエス、あなたは御父のいたわりと、よい知らせをわたしたちに与えるために来られました。いつくしみの特別聖年にコルコタの聖テレサが列聖されました。その列聖に感謝いたします。
あなたは、マザーを絶望の底にある人たち、誰からも望まれていない人々、見捨てられた人々、そして臨終の床にある人々にあなたが愛と深い思いやりを伝えるために遣わしました。そして、あなたの『わたしは乾く』の招きに誠心誠意を持って、貧しい中でも最も貧しい人々に対して聖なる生涯を、愛の奉仕を通して応じました。
私たちは、マザーの取り次ぎによって、あなたのいたわりといつくしみ、深い愛をいただき、それを家族、コミュニティ、そして苦しんでいる兄弟姉妹たちと分かち合うことができるようあなたの恵みを願います。マザーテレサに倣って、私たちの心を、人を愛する心に、私たちの手を奉仕することのために用いることができるように助けてください。
主イエスよ、私たちの家族に、今日特にあなたを必要としている一人一人を祝福してください。私たち皆があなたのいつくしみ深い愛によって聖なる人になれますよう恵みを注いでください。アーメン。
シスターのあいさつが終わると、派遣の祝福があり、閉祭のあいさつでは、司祭が「感謝の祭儀を終わります。行きましょう、主の平和のうちに」と呼び掛け、会衆は「アーメン」で応じた。閉祭の歌「Let us praise Got」とともにミサは終了した。