ローマ・カトリック教会の「いつくしみの特別聖年」(2015年12月8日から16年11月20日まで)とバチカンによるマザー・テレサの列聖(16年9月4日)に合わせ、マザー・テレサの未公刊資料を集めて出版された、英語による新刊本。日本語訳はまだ出版されていないが、本書の題を強いて訳せば、例えば「慈しみへの招き:愛する心、仕える手」といったところか。
本書は、米国ニューヨークの出版社、ペンギン・ランダムハウス(Penguin Random House)の一部門であるクラウン・パブリッシング・グループ(Crown Publishing Group)のイメージ・カトリック・ブックス(Image Catholic Books)から16日に発売されたものだ。
目次にある主な内容は、
Preface(前書き)
Introduction(序)
Chapter One: Feed the Hungry(第1章:飢えている人たちに食べさせる)
Chapter Two: Give Drink to the Thirsty(第2章:のどが渇いている人たちに飲ませる)
Chapter Three: Clothe the Naked(第3章:裸の人たちに着せる)
Chapter Four: Shelter the Homeless(第4章:家のない人たちを保護する)
Chapter Five: Visit the Sick(第5章:病気の人たちを見舞う)
Chapter Six: Visit the Imprisoned(第6章:牢にいる人たちを訪ねる)
Chapter Seven: Bury the Dead(第7章:死者を埋葬する)
Chapter Eight: Instruct the Ignorant(第8章:無知な人たちに教える)
Chapter Nine: Counsel the Doubtful(第9章:疑う人たちに助言をする)
Chapter Ten: Admonish Sinners(第10章:罪人を諭す)
Chapter Eleven: Bear Wrongs Patiently(第11章:過ちにじっと耐える)
Chapter Twelve: Forgive Offenses Willingly(第12章:不愉快なものを進んで許す)
Chapter Thirteen: Comfort the Afflicted(第13章:苦しめられている人たちを慰める)
Chapter Fourteen: Pray for the Living and the Dead(第14章:生者と死者のために祈る)
Conclusion(結論)
という構成になっている。
前書きと序は、マザー・テレサ列聖の申請代理人であるブライアン・コロディーチャック神父(神の愛の宣教者会)が書いたと記されており、編集も同神父によるものであるという。結論の著者は名前が書かれていないが、マザー・テレサが3人称で書かれていることから、それを書いたのはマザー・テレサ自身ではなく他の誰かによるものと思われる。
14の章にはそれぞれ、各章のテーマに関する同神父による書き出し文と、マザー・テレサが書いた文章からの引用を集めた「彼女の言葉(HER WORDS)」、マザー・テレサによる模範に関する、マザーの身近な人たちや長年の協力者たちの未公刊の証言を集めた「模範:証言(HER EXAMPLE:THE TESTIMONIES)」が収められている。
また、読者が神のいつくしみにもっと心を開いてマザー・テレサの模範に従い、そのいつくしみを兄弟姉妹に広げていけるようにと、各章の最後には、聖書の言葉などを含む「省察(REFLECTION)」と、マザー・テレサが祈ったものを含む「祈りの文(PRAYER)」などが収められている。
本書によって読者は、日々の生活の中でいつくしみと憐れみをどのように示すことができるかについて、マザー・テレサの知恵を知り、実践する手掛かりを得ることができるだろう。
なお、本書には電子書籍(Kindle版)の他に、ハードカバーもある。
マザー・テレサ(Mother Teresa)著・ブライアン・コロディーチャック神父(Fr. Brian Kolodiejckuk, M.C.)編著『A Call to Mercy: Hearts to Love, Hands to Serve』、Image刊、384ページ、ISBN 9780451498205