米国の大衆伝道者フランクリン・グラハム氏は、信教の自由を厳しく制限する新法がロシアで成立したことを受け、10月に予定していた迫害に関するキリスト教指導者の世界サミットの開催地を、モスクワからワシントンに変更すると発表した。開催日程も来年5月10〜13日に変更される。
グラハム氏は3月、「現代史におけるいかなる教会もロシアの教会以上の苦しみを経験してこなかった」と述べ、迫害に関する国際的な会議を10月28日〜30日に、モスクワで開催すると発表していた。この会議は、グラハム氏が代表を務めるビリー・グラハム伝道協会(BGEA)とロシア正教会が共同で計画していた。
ロシアのウラジミール・プーチン大統領は先月、いわゆる反テロ関連法案に署名して法律として成立させた。同関連法には、宣教師や伝道者の権利を侵害する内容も盛り込まれている。
何よりも、同関連法に含まれる伝道規制法は、教会外での伝道や住宅地での宣教活動を禁止し、他人に信仰を分かち合うにも許可を取ることを要求する内容となっている。これには、インターネット上での信仰の分かち合いさえ含まれている。この法律に違反した場合、教会は1万5千ドル(約150万円)の罰金を科される可能性がある。
グラハム氏は今月2日、自身のフェイスブックに「私たちは、この重要な会議がロシアで開催されることを楽しみにしていました。共産主義の支配下で苦しんだロシア教会以上に現代におけるキリスト教迫害を知る者は誰もいないからです」とコメント。「しかし、ちょうど数週間前、ロシアはクリスチャンの自由を厳しく限定する法律を成立させました」「私たちは、迫害されているキリスト教徒を守るための世界サミットを行うことがいかに重要であるかを示す別の例を、毎週、世界のどこかから耳にしていると思います」と述べた。
同会議は、実際に迫害された経験を持つキリスト教の指導者や人権活動家、一般信徒たち数百人が参加するとして、注目を集めていた。グラハム氏は、こうした人たちが「イエス・キリストの御名を告白する者たちに行われている残虐行為を話すために集まる」と語っていた。
「私たちのチームが、この歴史的に重要な会議のために継続的に準備している間、信仰の故に迫害されている主にある私たちの兄弟姉妹のために一緒に祈ってください」。グラハム氏は、フェイスブックの投稿をこのように締めくくった。
一方、グラハム氏は、世界中のキリスト教徒が直面する多くの迫害の背後にイスラム過激派の存在があるとし、フェイスブックの別の投稿では、フランス人司祭が過激派組織「イスラム国」(IS)の信奉者とみられる男2人に殺害される事件があった後、教皇フランシスコが「世界は戦争状態にある」が、その戦争は宗教戦争ではないとほのめかしたことを批判した。
「私は世界が戦争状態にあることに同意します。しかし、私はそれが宗教戦争ではないという点に関しては同意できません。それは確かに宗教戦争なのです。欧州や中近東、アジア、そしてここ米国で私たちが見ている暴力と聖戦の背後に宗教があります」
「彼らの宗教の外にいる『異教徒たち』、特にユダヤ教徒とキリスト教徒の絶滅を要求するのは宗教なのです。(イスラム過激派の)戦士たちがイスラム教の名の下に斬首し、強姦(ごうかん)し、殺人を犯すとき、彼らに『アラー・アクバル(アラビア語で「神は偉大なり」の意)」と叫ぶように要求するのは宗教なのです。イスラム過激派は、コーランの教えに従っています。私たちは実際そうであるように、それを宗教戦争と呼ぶべきです」