ロシアのウラジミール・プーチン大統領が、教会の建物や敷地以外でのいかなる種類の伝道も禁じる伝道規制法案に署名し、同法が正式に成立した。専門家の中には、これを「ソ連崩壊後の歴史」において最も拘束力のある動きだと呼ぶ者もいる。
米ニュースサイト「ブライトバート」によると、大宣教命令メディアミニストリーズのハンヌ・ハウッカ会長は、「この新しい状況は1929年のソ連に似ています。当時は信仰の表明は教会の中だけで許されていました。事実上、私たちは昔と同じ状況に戻ってしまったのです。この反テロ関連法案は旧ソ連時代の最も厳しい規制法案に匹敵するものです」と全米宗教放送協会(NRB)に語った。
伝道規制法は、テロや過激主義の拡散に対抗する目的で、反テロ関連法として制定することになったもので、最近、ロシア連邦議会の上院で可決された。この法律は、連邦政府公認の礼拝場所以外のいかなるところでも信仰の分かち合いを禁止している。
カリスマニュースは、ハウッカ氏の話として、ロシアの何千もの教会がこの法律に反対する断食祈祷会を開催していると報じた。
ハウッカ氏は、「教会は伝道規制法案が可決されたニュースに驚いています。約7千の福音派プロテスタント教会はこのニュースを聞いた今、断食し祈りをささげています」と述べている。
クリスチャンポストは7月初め、ロシアの数組のキリスト教グループが、この規制法案に対して既に声を上げていたと報じていた。モスクワに拠点を置くセブンスデー・アドベンチスト教会欧州アジア支部は、信仰者にとって伝道規制法の要求に応ずることは「不可能」に近いと述べている。
プーチン氏の署名を前に、このキリスト教グループは「もしこの法案が可決されれば、ロシアの宗教状況はかなり複雑化してくるだろうし、国外追放となる信者たちが増え、信仰のために報復を受けるようになるだろう」と語った。
伝道規制法の下では、外国人宣教師はロシア当局から労働許可が下りないことには教会で説教することが許されない。未信者と神についてどんなことを語り合っても宣教活動とされ、罰せられる。個人の家での宗教活動さえも許可されない。
さらに、14歳以上の人が神について語っているのが見つかると起訴される。全ての市民は当局に宗教活動の報告を求められ、報告しない人に対しても罰則が定められている。
ハウッカ氏は、先行きが不透明な時代に直面している世界中のキリスト教徒たちに、ロシアの教会と共に祈りに参加してほしいと呼び掛けた。
「ロシアは今ひどく閉鎖的状態に陥っています。伝道規制法は、主なる神から教会に与えられている目的や使命と全く相いれないものです。伝道規制法によって、教会は共産主義者による迫害が横行していた旧ソ連時代に送り込まれようとしているのです」とハウッカ氏は訴えた。
NRBのジェリー・A・ジョンソン会長は、米政府に「不当な法律」としてこの法律を撤廃するようにロシアに圧力を掛けてほしいと要求した。
「キリストにある兄弟姉妹のために、ロシアにおけるキリスト教徒迫害という新たな鉄のカーテンが、すみやかにそして誰にも危害を加えずに上がっていくよう祈りましょう」とジョンソン氏は語った。