北朝鮮は、米政府による金正恩氏に対する最近の一連の経済制裁後、米国が北朝鮮に宣戦布告したと非難した。そればかりでなく、金正恩政権はまた、婦人用のヘアピンや紳士物のネクタイといった製品のうち、キリスト教の十字架に似た模様のある全ての製品の輸入を禁止した。
北朝鮮外務省の韓成烈(ハン・ソンリョル)米州局長は7月28日、AP通信に対し、米政府は金氏に直接制裁を与えることによって、「越えてはならない一線を越えた」と話した。
「オバマ政権は北朝鮮との政治的、軍事的対決の間、不利な立場から逃れるために行き過ぎた行動をし、ずうずうしくも北朝鮮の至高の尊厳に挑戦した」。金氏を制裁リストに載せることは戦争状態をつくり出すことだと主張しつつ、韓氏はこのように語った。
「米国は私たちとの対決において、越えてはならない一線を越えた」と、韓氏は付け加えた。「私たちはこの非常に忌むべき犯罪を宣戦布告と見なす」
北朝鮮は過去に多くの制裁に直面してきたが、AP通信によると、6月6日の制裁では、国連人権委員会によって立証されたさまざまな人権侵害のために、金氏自身が制裁の個人リストに初めて載せられた。
これとは別に、米政府系の自由アジア放送(RFA)は7月28日まで、北朝鮮の国境警備隊が、キリスト教の十字架と似ている模様の付いた、外国からの全ての輸入品を阻止するように命じたと報告した。
匿名の情報提供者はRFAに対し、十字架の没収を命じる指示はこれまでにない新しい展開だと語った。
「私たちは常に、商品のラベルにいかなる韓国のキャラクターも記載されていないかを確かめる必要がありました。その厳重さは、わざわざ私たちが中国から商品を持ち込むほどでした」と、男性の情報提供者は語った上で、「今、私たちは十字架のように見える何かがないことを確認するために、もう一度チェックする必要があるのです」と話した。
この男性によると、何が十字架の模様に該当するかは常に明らかではなく、時々偶然に該当する場合があるという。
「婦人物の服のあるデザインは、見る人によっては十字架のように見えるものが多くあります。十字架のデザインは、婦人用のヘアピンやヘアバンド、紳士物のネクタイに見られます」「これらの商品は、税関の審査の間に没収される可能性が高いのです」
北朝鮮は、キリスト教迫害監視団体「オープン・ドアーズ」による世界の迫害状況をまとめた報告書「ワールド・ウォッチ・リスト」で、14年連続でワーストワンに挙げられている。同リストは、北朝鮮をキリスト教徒に対する世界最大の迫害者として挙げている。
オープン・ドアーズの会長兼最高責任者(CEO)であるデイビッド・カリー氏は、クリスチャンポストの今年1月のインタビューで、北朝鮮では2015年、7万人を超えるキリスト教徒が信仰のために投獄され、公式の数字を入手するのは難しいものの、多くのキリスト教徒が処刑させられたと語った。
金氏の支配体制の下では、キリスト教が全面的に禁止されており、信仰の告白や聖書の所持に対し、投獄かさらに厳しい罰が科される。
カリー氏はクリスチャンポストに、「北朝鮮から情報を得ることは周知のごとく困難です。それは、北朝鮮が『ワールド・ウォッチ・リスト』の1位にとどまる事実をいっそう驚くべきものとすることです。私たちはどれだけ多くのキリスト教徒が北朝鮮で殉教したかさえ知らないのです」
「しかし、北朝鮮はリストのトップにとどまっています。北朝鮮がキリスト教信仰を抑圧するため、聖書を所有するといったような最も基本的なことさえ罰するために、権力の全てを用いているからです」