【CJC=東京】北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)は2月29日、同国で1月から身柄を拘束されている米国人大学生が、北朝鮮の政治スローガンが記された掲示物を盗んだことを認めたと報じた。窃盗は米教会関係者の指示で行ったという。
大学生は、米バージニア大学のビジネス専攻の3年生オットー・フレデリック・ワームビア氏(21)。昨年12月にツアー旅行で北朝鮮を訪問し、出国間際に当局に身柄を拘束された。
KCNAによると、ワームビア氏は29日に平壌市内の人民文化宮で、北朝鮮メディアと外国人記者らの前で「記者会見」する機会を与えられた。その冒頭で同氏は、ツアー旅行で宿泊した平壌市内の羊角島国際ホテル2階のスタッフ専用エリアから、1月1日早朝、政治スローガンの書かれた掲示物を取り外したと告白したという。
ワームビア氏は、米オハイオ州ワイオミングのフレンドシップ合同メソジスト教会の関係者から、政治スローガンが掲示された物を盗み出すよう指示されたと説明している。この教会関係者はワームビア氏の友人の母親で、「戦利品」として政治スローガンを持ち帰れば1万ドル(約110万円)相当の中古車を譲ると約束したという。
「この任務の目的は、北朝鮮国民のやる気と労働意欲をそぐことだった。非常にばかげた目的だった」とワームビア氏は述べたとされる。同氏が持ち出したスローガンは、北朝鮮の人々に「祖国の体制を愛せよ」と促す内容だったという。
米CNNテレビが放映した動画には、むせび泣くワームビア氏が「人生で最悪の過ち」を犯したと述べ、解放を訴える姿が映っていた。