聖公会の主教らが、イランにおけるキリスト教徒へ対する迫害が悪化の一途をたどっていると訴えている。
西欧列強がイスラム国家であるイランへの経済制裁解除を含む最終合意書に署名して1年、英国と米国の約80人の教会指導者らが、イランの神権政治に対して行動を起こそうという力強い呼び掛けに支持を表明した。主教らは、イランにおけるキリスト教徒と他の少数派に対する処遇改善をイラン政府に要求するよう、各国政府に求めている。
9日にパリで行われた抗議運動「自由なイラン」に先立って出された共同声明で、英国国教会(聖公会)のグロスター主教レイチェル・トレウィーク、ステップニー主教エイドリアン・ニューマン、セルビー主教ジョン・トムソン、元オックスフォード主教ジョン・プリッチャードらは、イランの支配者たちがキリスト教徒を虐待しているとして、「深刻な懸念」を他の人々と共に発した。
主教らは、「キリスト教徒への抑圧は継続しているばかりでなく、ハサン・ロウハニ大統領政権下で増大しています」と指摘。「このような状況において、私たちは西欧の全ての国々がイランとの関係の舵取りにおいて、イランにおける人権の嘆かわしい状況、特にキリスト教徒たちの痛ましい状況と彼らへの抑圧の増大を考慮することを求めます」としている。
また、「私たちは、西欧諸国がイランにおけるキリスト教徒への抑圧と処刑の中止を、イランとの関係改善の前提条件として調整するように求めます」とした。
主教らは、イランにおける自由と人権を促進するために、9日にパリで行われた国際的な抗議運動を支持することを誓った。「このデモは、世界列強のP5+1グループ――英国、米国、フランス、中国、ロシアとドイツ――が、核開発の制限の見返りにイランへの制裁を解除する最終合意に署名してからの1年を印象付ける出来事となるでしょう」
英サウスエンドウエスト選出の国会議員であるデイビッド・アメス卿は6日、米フォーブス誌の記事の中で教会指導者らへの支持を表明。発言できない世界中の人々の権利のために闘うのは、西欧の人々次第であり、恐らくイラン以上に重要で潜在的な積極的効果のあるところはない、と語った。
「イランの自由のための英国国会委員会」の共同議長であるアメス氏は、「私たちはイランを無視してはならない」と強調した。
「自由なイラン」は、教会指導者や他のイスラム教国の多数の政治家を含め、10万人以上の参加を見込んで行われた。
イラン系米国人のドニア・ジャム(21)さんの父親は、イラン政権に反対し短期間逮捕された後、イランから亡命した。その時、ドニアさんはまだ子どもだった。現在は米国の学生である彼女は、英クリスチャントゥデイにイランの「政権の悪」に反対することは、クリスチャンとしての彼女の責任であると話した。
「イエスは悪に抵抗し、そして人々に愛をもたらすことを望みました。それ故、クリスチャンとして平和と愛をもたらすことは、私たちの責任です」「現政権はただ憎しみをもたらします。とても暗い雰囲気をつくり出したのです」
ドニアさんは、政権に対するどんな意見もイランでは許されないと語った。「現政権は(反対する)人々を石打ちにしたり、彼らの両手を切断したりします。もしそれが悪でないなら、私は何が悪であるかを知りません」
イラン国民抵抗評議会(NCRI)は、イラン最大の反体制組織であり、「自由なイラン」を後援している。ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構=PMOI)は、NCRIの中核組織で、ドニアさんは、PMOIのデモにずっと参加しているという。
「現政権は改革を遂行できると人々は言っていますが、それは明らかに真実ではありません。私は常に政権が変わることを要求しています。私たちは民主的な政権に変わることを求めています。それはイランにおける本当の自由と民主主義をもたらす唯一の方法なのです」
イラクにあるPMOIの本拠地である「キャンプ・リバティー」は4日、50発以上のミサイル一斉射撃を受けた。「自由なイラン」のデモは、この襲撃があったのと同じ週に行われた。キャンプ・リバティーは、イラクにあった元米軍基地を利用したもので、現在は国外追放されているイランの反体制派が使用している。4日の襲撃では、少なくとも40人が負傷し、多くの建物が破壊された。